「阪神タイガース」について | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 阪神タイガースが2年ぶりにリーグ制覇を成し遂げた。2003年の優勝が18年ぶりの優勝であり、1985年の優勝が21年ぶりだったことを考えると奇跡的な早さでペナントを奪還している。新聞やテレビには『常勝』の文字もチラつきだした。
 かつて読売巨人軍は日本一を9年連続で勝ち取るという偉業を成し遂げ、『常勝軍団』と呼ばれていた。今でも豊富な資金力で戦力をかき集め、優勝することが条件つけられた球団としてある。しかし今シーズンを見る限り『常勝軍団』という名は見る影もない。
 野村克也監督時代のヤクルトスワローズもキャッチャー古田を中心に若手とベテランのバランスの取れたよいチームでとても強かった。黄金時代と言ってもよいだろう。
 阪神タイガースもあと5年間くらいは強いチームとして優勝も狙えるチームとしてあるだろう。しかし、ずっとこの状態が続くとは思えないし、『常勝軍団』になってほしくないという裏腹な願いもある。勝てば気持ちいいし、うれしい。しかしチームとして組織としてとても『硬直した状態』になってしまうような気がするのである。
 平家物語の一節、『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ』
 世の中の事柄すべてを表している。誕生し、成長し、栄え、衰え、老い、そして滅びていく。そして再生し新たなサイクルに入る。新たなサイクルではどこか成長し螺旋のように一段高いサイクルを回る。このサイクルのどこかで留まってしまえば、それは『不自然』な状態と言えるのではないだろうか。『不自然』な状態に生命力はない。サイクルの生き様、潔さ、そして劇的な再生こそがドラマを生み、魅力を生みだすのである。
 阪神タイガースがある限り、甲子園に六甲おろしが鳴り響く。そんな魅力的なチームであってほしいと僕は願う。