ご存じ新渡戸稲造による日本における道徳の源を明らかにし、世界に大反響を巻き起こした名著である。以前、台湾の李登輝氏により解題されたものを読んだことがあった。今回は奈良本辰也氏による訳である。
なぜこの本を読もうと思ったか。今の社会を概観したところ日本社会において「公共性」の喪失が著しい。いわば道徳である。かつて尊敬された日本人の精神は見る影もなくなってしまった。物や金を所有している者が「勝ち組」とされ、政府の政策により「負け組」との格差は開く一方である。
しかしその「勝ち組」「負け組」という品のない分類方法は何なのであろうか。日本という風土において長い年月をかけて育まれてきた日本人の精神性の土台に立てば、このような分類で社会を見る目にはならないであろう。
「武士は喰わねど高楊枝」「清貧」という言葉の中で大切にしてきたものは一体何なのかを知りたくて、僕はこの『武士道』に帰ってきた。
「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義」それぞれに章が割り当てられている。一日ひとつずつまとめていきたいと思う。おそらくその先には更に起源をさかのぼり孔子の『論語』へと続く道が見えてくるであろう。