『三国志』 | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 中学生の時に僕ら同級生の内で三国志がブームとなった。はじめはゲームをやっている人が聞いたこともない名前を言い合って遊んでいるのを聞いて「この武将は武力が高いんだ」とか「この将軍は頭がいいんだ」といったことを漠然と覚えていっていたのだが、どうしてもそれだけでは話題についていけず親に言ったところゲームでも漫画でもなく小説の『三国志』なら買ってくれるということになり迷わず本屋へ行った。
 手に取った本は吉川英治の『三国志』であり、全部で10巻ある。なかなかの分量である。購入目的が友達が面白そうに話しているのがうらやましかったということだったのだが、そんなことも忘れててこの物語に没頭していった。
 劉備、曹操、孫権を中心として物語が進むのだが、彼らはもちろんなのだが、その他の登場人物のなんとも魅力的なことか。出てくる人出てくる人がすべて主人公級の個性をもって輝いているのである。すべての登場人物が輝きをもっている物語が面白くないわけがなくそれ以後すっかり三国志ワールドへと足を踏み入れたのである。漫画をはじめゲームやテレビ、更に三国志に関する本を目にすれば飛びつかずにはいられなかった。
 すべての原点になったのが吉川英治の『三国志』であった。高校へ入学した時、浪人時代、大学へ入学した時と節目ではなぜかもう一度読みたくなり、他のことを忘れて読んでいた。今も僕の本棚にきちんと揃って置かれている。日光で少し本は焼けて色あせているが、この中には何百という登場人物が活躍する場面で溢れているのである。