『君たちに大切にしてほしいもの−人として生きるために−』 | 行く河の流れ

行く河の流れ

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

 岡山中学校・岡山高等学校の文化講演会を友人に誘われ参加することができた。講演者はベストセラー『バカの壁』の著書で知られる養老孟司先生であった。演目は「君たちに大切にしてほしいもの-人として生きるために-」というものである。
 解剖学者である氏の講演は存分に哲学的な内容であった。氏がどのような眼で世界を観ているかがよく分かる内容だった。人間理解という観点からみて僕にとってもとても参考になるもので有意義な時間を過ごすことができた。
 「青」という字を赤色で書く。そこで「これは何?」と質問すると「青」という答えが予想される。しかし、視覚を通してみたそれは「赤」である。そこにはどんな違いが隠されているのか?
 「青」という答えが返ってくる理由はそれが「言葉」だからである。「青」という「言葉」を認識し解答されている。
 「赤」という答えが返ってくる理由はそれが「感覚」だからである。「青」という字が「赤」色のペンで書かれそれを認識して解答されている。
 氏はこのような例を通して、「同じ」ということと「違う」ということを講演の中で一貫して述べられていた。「個性、個性としきりにいうが、君たちは同じ人間は誰一人としていない。一人ひとり「違う」のだ。さらに自分の中でも昨日の自分と今日の自分、そして明日の自分は変わっていく。むしろ変わらないことの方が怖いと思いませんか?」と講演を聞く中学生・高校生に対してメッセージを投げかけておられた。
 世界は自分が観ている。自分の見方によって世界は変わる。「面白き事も無き世を面白く」という高杉晋作の辞世の句が浮かんだ。