昨日の続きです。
ISO審査員を目指す上で押さえて欲しい3つのポイント(その1) | 人財育成・ISO研修機関 経営者ブログ
ISO審査員として活躍していくために必要なステップは
a. 審査機関調査
b. 応募
c. 面接
d. 初期研修
e. 審査員補としての活動(OJT)
f. 昇格手続き
g. 審査員としての活動(お手当あり)
h. 昇格手続き
i. 主任審査員としての活動(プロ審査員)
です。とお伝えしました。
今回は、それぞれについての詳細のご説明をいたします。
a. 審査機関調査
ISO9001であれば日本で活動している審査機関は本当にたくさんあります(現状でも50を超える機関が活動していると思います)。その中からどこで契約してもらうことを考えるか。
色々なスタイルの審査機関がありますので、自分にあうところを探すために、もしかすると
半年間
の時間を必要とするかもしれません。
b. 応募
応募する審査機関を選定したら、今度は履歴書等を送って採用面接をしてもらうことになります。
書類選考ももちろんありますので、しっかり履歴書及び経歴書を書く必要がありますが、まず採用面接を毎日のようにしているわけではないところがほとんどですから、書類選考を通過しても面談にたどり着くまでに待つことになります。
1ヶ月
はみておく必要があるでしょう。
c. 面接
面接後は採用可否の連絡を待つことになりますが、これは一般の採用面接と変わらないのではないかと思います。1週間程度で連絡をもらえるでしょう。
d. 初期研修
審査員研修コースを受講し、合格してJRCAに審査員(補)としての登録が完了したとしても、審査機関開催による内部教育の受講が必須、というところがほとんどです。いえ、むしろそれは必須と思っておいてください。
JRCA(あるいはIRCA)承認の審査員研修コース(5日間、40時間)を合格修了しているのにまた?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
5日間の審査員研修コースも大変だったと思いますが、あくまであちらは基礎教育です。
審査員として現場に出ていくには、審査員研修コース以外にも学ぶ必要があることはたくさんあります。
その審査機関独自の考え方やルールへの認識を深めてもらうことも必要ですから、実践型研修としての審査機関による研修機関を受けないことには、審査員としての活動は始められません。
そしてこの研修も随時開催しているとは言えません。
ある程度人数がまとまったところで開催する等の理由から、半年1回の開催、というような状況と思ってください。
万が一、自分が提示された日程に別の予定が入っていると、その時は諦めて次の日程でご受講ください、ということになってしまいます。
審査員は不足しているのではないの?
という部分と矛盾していると思われる方もおられるでしょう。
全てそのあたりは、それぞれの審査機関の意向次第ですので、自分がお世話になりたい、と最終的に思った審査機関はどのようなスタンスか、ということを確認してください。
面接を無事パスしても、この研修を受けるために半年程度待たされることがある、ということです。
初期研修を受けるまでの待機時間は
半年間
を最大期間として意識しておくとよいでしょう。
ただし、今はお勤めで、有給休暇を使ってこの初期研修を受けたい、とお考えの場合は、審査機関側の設定する日程と自分が取得できる有給休暇のタイミングが合わないリスクもあります。
半年に一度の研修の設定で、有給休暇が取れない、という状況に遭遇すると、研修を受けるのは1年後ということにもなりかねません。ここは十分に注意すべきところです。
私の場合は、次の研修の直前の面接通過だったので、予習の時間が必要なので次はダメでその次で受けてください、ということで7ヶ月以上待つ必要がありました。
e. 審査員補としての活動(OJT)
初期研修が無事終わるといよいよ審査員補としての活動が始まります。
しかし、審査員補を受け入れてくれるかどうかは被審査組織の意向次第です。
審査機関の事務局は、受け入れてもらえませんか、という要請をして、それでOKとなった先に審査員補を当て込むことになります。
ここも審査機関の経営・育成方針によって大きく状況が異なってきます。
何が違うかと言えば、審査員補の人に、事前準備をどれだけ求めるか、ということと、自分自身がどれだけそこに時間を割けるか、という点からかかる日数に影響が出ます。
しっかりとした準備を求める審査機関であれば、4回の審査に半年程度の時間を要する、ということになります。要はそれだけの時間を使って、被審査組織、業界のことを予して準備するように、ということです。
審査先組織の業務内容、過去の審査での状況、業界動向等を細かく調べ、認識したうえで、自分なりにどのような審査を行うかをしっかりシミュレーションすることを求めるわけです。
チェックリストも毎回のようにその組織に合わせたオーダーメイドのものを用意し、リーダー審査員の事前チェックを受ける、という流れです。
このあたりは、5日間で資格取得のために受講する審査員研修コースとは相当にレベル感が違いますのでご注意ください。
つまり1日や2日の準備では上記のことに耐えられる資料作りを行うのはかなり困難ということです。
一方で、極論ですが、プロ審査員であれば、ぶっつけ本番でも許容する、というスタンスの審査機関であれば、審査員補のOJT段階でもそこまでの準備を求めません。
そうなると審査員補の期間も2ヶ月程度で通過できる可能性が出てきます。
それほど差があるのか?
と思われるかもしれませんが、現実はこのような状況です。
いかに、a.の審査機関調査が大事か、ということを改めて感じていただければと思います。
f. 昇格手続き
無事審査員として4回の審査をこなすと、JRCAの昇格基準を満たすことになります。
ここも審査機関次第ですが、JRCAの資格を求めている期間であれば、基準を満たした段階で速やかに手続きを行いましょう。
ここも思う以上に時間がかかります。その期間は、
2ヶ月
です。
さあ、いかがでしょうか。
ここまでで、最初のスタートを切ってからどれだけの時間を最大で要したか。
整理すると
審査機関調査:6ヶ月
面接待ち :1ヶ月
初期研修待ち :6ヶ月
審査員補OJT:6ヶ月
です。合計すれば1年7ヶ月です。私自身のケースであれば、a.の審査機関調査は不要でしたので、b.から始めたわけですが、b.からこの審査員としての昇格が完了するまでになんと1年7ヶ月かかっています。
g. 審査員としての活動(お手当あり)
審査員への昇格が完了しても、また待ち時間が発生します。
なぜかというと、審査計画は通常3、4ヶ月先の日程のものを組んでいきます。
審査員補であれば、すでに審査チームが組み上げられている中に審査員補を入れ込むということは可能ですが、今度は審査員ですから、途中で追加の審査員をあてがう、ということはあり得ません。
あくまで審査チームを組み上げる段階でその人をあてがうことになります。
つまり、審査員としての昇格が完了したところで新たな審査計画を作る際にその人をはめ込むことになりますから、3、4ヶ月後にようやく審査員としての初審査を入れてもらえる、ということになります。
ここでも待ち時間ということですね。
3ヶ月
この期間仕事はもらえない、という覚悟が必要です。
そして審査員としての活動を順調に積み重ねていけば、主任審査員としての昇格基準を満たせるようになるでしょう。再びJRCAへの昇格申請、ということになります。
h. 昇格手続き
この昇格手続きもまた時間を必要とすることは先程のケースから容易に想像していただけると思います。
i. 主任審査員としての活動(プロ審査員)
さあいかがでしょうか。
ゼロベースで審査機関を探し始めて、プロ審査員として活躍できるようになるためには3年、と申し上げている意味がご理解いただけたのではないかと思います。
現在所属組織で審査を受けている機関に審査員として契約してもらうことをお考えになるようであれば、a.の審査機関調査は不要ですから、それだけで準備期間は3年から2年半に短縮できます。
また、審査員補としての準備をそれほど厳しい指示が出ない審査機関であればまたそこで期間の短縮が可能です。
さらに、審査機関によっては、JRCAの資格は求めないところもあります。
それによって、上述の待ち時間も不要になります。
そこから考えていけば、応募からプロ審査員である主任格になるまでの期間が1年程度、と3年の三分の一の期間でいける、という場合もあり得ます。
どちらが良いかは一概には言えません。
ご自身の経験と意向に合わせてそのあたりはご判断ください。
まず一点目の審査員になるための「準備期間は想像以上に時間が必要」はここまでとしますね。
二点目、三点目、次回とさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。
(了)