本文の前にご案内です。
ISO審査員としての活躍を考える方向けの講座を作りました。
状況によってどの講座がよいか迷われるようであればお問い合わせください。
前回から、ISO審査員になる価値、意義について改めてお伝えするべく書き綴っております。
早速ですが、前回の続きです。
ISO審査員を目指すなら、57歳から準備を、と申し上げてきているのですが、その理由をご説明します。
60歳で定年退職を迎え、ISO審査員として独立してやっていくための準備期間として3年間を想定しましょう、ということですが、その内訳は4つのステップに分かれるのです。
以下に記していきます。
ステップ1:調査検討期間
ステップ2:応募、契約、そして準備期間
ステップ3:見習い期間
ステップ4:独立
というのが、大きな流れ、そして動きになります。
一つずつ解説していきます。
【ステップ1:調査検討期間】
これは、ISO審査機関について、あなたが独自に調査検討する機関です。
一番市場が大きいISO9001であれば、業務を行っている審査機関はおそらく今でも50社は超えていると思います。
この中からどこの審査機関の門を叩けばよいか。
すでに自社でお世話になっている審査機関があって、そこで契約してもらいたい、ということをお決めになっているのであれば、ここは時間の大幅圧縮が可能です。3年の準備期間は不要でしょう。
しかし、もし自社が契約している審査機関が、安値を売りにしているところであれば、実は審査員になるハードルはそれほど高くない一方で、報酬面は期待できない、ということになるのです。そうなると、自分に自信があり、より高い報酬を目指すのであれば、外部の審査機関の門を叩かねばなりません。どの審査機関がどのような方針で審査を行っているか。それは正直私でも全く知らない審査機関の方が多いくらいですから、あなたが一から調べようと思うと膨大な手間をかけなければなりません。
転職支援会社も網羅している業界ではありませんから、口コミに頼るしかない、というのが実情ではないでしょうか。
そうなるとこのステップ1で1年間くらいの時間はすぐ経ってしまうということになります。
【ステップ2:応募、契約、そして準備期間】
さて、どの審査機関にお世話になろうか、ということを決めて、ステップ1からステップに2に進む、というところまでくれば、その決めた審査機関に応募して、契約をしてもらう、ということになります。
書類選考を経て面接をパスしなければなりません。
あちこちで申し上げておりますが、審査員はこれから不足してきます。よってチャンスはどんどん出てきます。
ただし誰でも簡単に契約に至るかと、というと流石にそうではありませんので、その点だけはご注意ください。
審査員研修コースを受けて合格している、あるいはその計画をしている、というレベルではないと、さすがに門前払い、ということになってしまいますので、そこまでは自力で調査、情報収集、自己研鑽を積んでください。
車の免許を取るつもりもないのに、タクシードライバーになって稼ぎたいので、契約してください、と言っているとの同じことになってしまいますので・・・。
そして、脅かすわけではありませんが、色々お付き合いしてきた審査機関の中で、ある1社だけは新規の審査員募集で全く困っておらず、自然となりたいという方の履歴書が送られてくる、というところがあります。
私の認識の中では、そこは日本で一番質の高い審査をすること自他ともに自負している機関ですが、応募する人が大勢いるということもあって、書類選考でどんどん落としている、というお話をお聞きしています。
これ以上はなかなかここで記すわけには行きませんが、審査機関も千差万別ということを今一度理解していただければと思います。
さて、書類選考を通って、面談に進むわけですが、そこも一般の会社の正社員募集とは様相が少々異なります。
時間軸の捉え方の問題になるのですが、人手が足りないからすぐにでも来てほしい、という会社であれば、面談の日程設定は当然クイックに進みます。
しかし、ISOの審査員はそのような形での業務開始になりません。
ゆえに、こちらが思ったようなスピードで採用面接が進まないケースが往々にしてあります。
そしてさらに、無事採用となっても直ぐに仕事ということには絶対的にならないのです。
何があるかというと初期研修です。
審査員研修コースを合格し、JRCA等での審査員資格を保有ししたからと言って、すぐに審査の現場には出られません。
何で?
と思われるかもしれませんが、各審査機関では独自の初期研修を行うのが通例なのです。
審査員資格保有は免許書保有と同じ。
ペーパードライバーをいきなりプロのタクシードライバーとして出せないのと同じで、その人の力量はどの程度なのか、そして変な癖はついていないか、ということのチェック及び強制のために、内部研修を行うわけです。
そしてこの研修をいつでも行っている、というわけではない点に注意が必要です。
年に数回、何人かの人をまとめて行う、というのが多くの審査機関のやり方なため、採用通知を受け取っても、その初期研修を受けるために結構な期間、待っていなければなりません。
書類選考が始まってから、初期研修を終えるまでに、半年から1年の期間がかかる可能性があると思っておいたほうが良いでしょう。
よって、ここまでで既に2年の時間を費やしている、ということになりかねないのです。
【ステップ3:見習い期間】
契約が整い、初期研修が終わると、いよいよ審査員補として実際の審査に赴くことになります。
審査員補の間は無給です。交通費実費等は多くの機関で支給してくれるでしょうが、その部分も確認が必要です。
そして審査員補は、審査をする側にとッテも審査を受ける側にとっても、言葉をあえて選ばずに言えば、お荷物です。
はっきり言えば、実務に貢献しないばかりでなく、余計なコスト、ということになってしまいます。したがって、はっきり言えば、審査を受ける側の方々の善意によって成り立っている、という状況なのです。
審査員補から審査員に昇格するためには、JRCAの基準上は、
6.2 必要な審査実績
当センター承認の QMS 審査員フォーマル研修コース又は資格拡大コースを合格修了した後、 審査員への格上げ申請前3年以内に、審査チームメンバーとして、“有効な審査実績”(12 項 参照)を4回以上、かつ現地審査日数合計5日以上の実績を有すること。
<文書番号:JRCA AQ140-改定 3 版 品質マネジメントシステム審査員の資格基準>より引用
この審査員補ではなく、審査員という資格基準に到達して初めてお手当がいただけるようになります。
4回5日間以上の審査。
高いハードルではありませんが、審査機関からすれば、まだ力量の分からない審査員補に経験を積ませるために、組織にお願いして受け入れてもらい、審査チームのリーダーにお願いして受け入れてもらい(指導教育係として)日程調整をしなければなりません。
はっきり言って手間がかかる面倒な仕事です。
でもそのアレンジをしてもらわないと、審査員補はいつまで経っても実戦デビューができません。
お仕事をしながら審査員活動に入る、という方であれば、日程上の制約も多いでしょう。
この日であれば審査に行けるとこの日は業務の都合上、仕事を休むわけにはいかない、という日があることを考えると、4回5日間以上の審査の経験を積むのに、これまた1年位はすぐに経ってしまうものです。
これでおわかりいただけたのではないかと思います。
審査員として定年後やっていくには、少なくとも審査員補の時代を卒業して、審査員にまで資格は昇格していないといけない、その年限は3年くらい掛かる可能性がある。
だから57歳からスタートしましょう。
ということなのです。
ここまでご理解いただければ、あとはあなたのこの先の人生設計次第です。
繰り返しますが、ISOの審査員は80歳になっても活躍できる場合があります。
シルバー人材の活躍の場として非常に魅力的なものがあります。
飛び込んでみたい、と思われた方はどうぞご自分でも情報収集をされ、そして私達の世界にお入りください。
この先、先輩審査員が高齢でどんどん引退していきます。
その穴を埋めるのはあなたです。
5年後、そして10年後に心身健康な状態を保ちたければ、頭をかなり使う仕事、適度に体を使う仕事(出張がもちろんありますので)であるISO審査員は、人生の最後の仕事としてとてもやりがいを感じていただけると思っております。
どこかでご一緒に仕事ができる日を願っております。
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こちらではお話できない業界の裏話的な事も含めてお伝えできることが多々あるでしょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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最後に
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前回のブログの最後で、【お知らせとご案内】として以下の文章を記させていただきました。
改めて掲載いたしますが、
テクノファ代表を退任後、少しこの世界から足が遠のきました。
facebookでは既に次の事業展開を始める旨のご案内をさせていただきましたこともあり、
このブログも、今回で一旦停止をさせていただきます。
前言撤回いたします。改めて2025年に向けて再開します。
引き続きよろしくお願いいたします。
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審査員として活動していく上ではいくつになっても勉強は欠かせません。
互いに頑張りましょう。
(了)