「人生ってわからないものね」〜まちつかれた「おつかれさま」2 | typの推しつ推されつ

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2年間待ったドラマ「おつかれさま」が3月28日の配信を最後にたった4週間であっという間に終わってしまった…この5年間くらいでたくさん韓国ドラマを見てきたけどこのドラマは唯一無比の作品。生老病死、喜怒哀楽、四苦八苦、七転び八起き…人生の全てが凝縮されており、今後自分にとってはバイブルとなるんじゃないかと思う。



劇中人物もしょっちゅうワンワン泣いているが見ている我々もと心を奥底から震わされて、涙涙涙。涙活のためにあるかのような作品で、中毒性も高くて毎回4話配信されるたびにその日のうち4話続けて見て次の4話が配信されるまで3周してしまうという沼り具合。


春夏秋冬に合わせて人生を描くという事前情報があり、幼少期から老年期まで時系列にそってストーリーが展開すると思いきや、いきなり冒頭現在のヒロインの描写から始まり、その後も過去と未来をシームレスに行き来する展開がとても斬新。


そして、ヒロインであるエスンとその娘であるクムミョンをIUが2役で演じるという大胆な配役にも驚いたのだが、時系列が交錯するので同じエピソードで2人を演じるIUを見ることができ、同じDNAを持ちながらも微妙に違う2人のキャラクターを完璧に演じ分けていたIUの演技力が最高すぎた。



クムミョンのちょっと屈折してツンデレな感じは、「プロデューサー」のシンディー〜「マイディアミスター」ジアン〜「ホテルデルーナ」のマンウォル、とIUのかつて演じたキャラクターの系譜に準ずる感じがしたけれどもエスンの激しく天真爛漫で我慢強いなキャラは今までにない役柄で、生きてるだけで涙が出てくるその存在感はもはやノーベル文学賞あげてもいいんじゃないかと思われる。


そして、時系列の交錯によって、時にミスリードを誘う伏線とその見事な回収がなされていて、エスン夫妻がいっとき住んでいた万物センターの老夫婦のエピソードとかエスンの息子のウンミョンの餅売りのエピソードとか回収された瞬間に涙腺が崩壊してしまい、脚本家を殴りに行くorハグしに行きたくなる。


この時系列の組み替えの演出によって、あの時のあれがあれだったのかと驚かされるし、なんなら、未来のエスンが過去のエスンを助けに行くシーンもあったりして、クリストファーノーランのTENETの時間逆行をSF的枠組みなしでやってのけた感がある。



エスンは、大学に進学して、詩人になり、内地に嫁ぐという3つの夢があり、



グァンシクはひとつは叶えてあげると約束をしたが、叶わぬまま年月は過ぎてしまった。


ところが、なんとも不思議なご縁が重なりエスンが70歳になったときに書いた詩が詩集として出版されることとなり、



なんだかんだなんだかんだあった末の夢の成就は本当に「人生って分からないものね」というエスンの言葉が身に染みる。