まちつかれた「おつかれさま」 | typの推しつ推されつ

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すす3月7日から待ちに待った「おつかれさま」がネットフリックスで配信開始。

 

 

 

配信当日で配信された4話までを一気見して今は3周目目に突入している。

 

とにかく冒頭シーンから意表を突く展開で胸に刺さる。数十年にわたる年代記を描くのに時系列の最初からではなくて今現在から始めるというのは最近では珍しいわけではないけど、このストーリーは母娘の愛憎がテーマであることを猛烈に印象付けるオープニングだった。

 

IU演じる主人公エスンの母グァンネは名優ヨム・ヘランがもう神がかりの演技で彼女の喜怒哀楽のひとつひとつに涙を誘われずにはいない。憎いアワビの詩のところなどはこんな初めのうちからこれだと涙腺が干上がってしまうのではないかと思ったほど。


https://x.com/netflixkr/status/1898252339934306322?s=46&t=ceJvkwNN-mfCTIfVBl8ZgQ

 

 

 

このドラマの撮影時期とかぶっていたのかいないのかわからないけど、IUのShh…についてのインタビュー動画を見返すと何ともこのドラマのテーマとシンクロしていてこれもまた感動を誘う。(このインタビュー動画にはある仕掛けが施されていてこれまた衝撃的である。)

 

 

製作費が600億ウォンという巨額であったこともあるが、とにかく映像へのこだわりが半端なくて色彩も構図も美しすぎて映画館の大画面で見たくなる。

 

主演のIUとパク・ボゴムをとりまくキャストがまた豪華で、ヨム・ヘランのみならず序盤からしれっと出てきたひも亭主オ・ジョンセや怪しい船長チェ・デフンや「最高ですスンシンちゃん」でスンシンのおばあちゃんを演じていたキム・ヨンリム、「マイディアミスター」で主人公ドンフンの出家した親友を演じていたパク・へジュンそして一瞬しか映らないが「無人島のディーバ」で最高の演技をしてくれた少年ムン・ウジン君などなど…

 

もちろん、猛女エスンを演じるIU、エスンに一途な愛をささげるグァンシクを演じるパク・ボゴムのケミもまた最高すぎて、今までの相手役だったヨ・ジング、イ・ジュンギ、キム・スヒョンなどとのそれとはまた違った味わいで、新たな人生ドラマが爆誕した感がある。


 https://x.com/netflixjp/status/1899068971879428547?s=46&t=ceJvkwNN-mfCTIfVBl8ZgQ

 

 


演出もまた巧みで一つのシーンから次のシーンのつなぎなとてもスムーズでテンポがよくあっという間に一話を見終わってしまうし、アワビやイシモチといった生活のアイテムがストーリー中で引きだす詩情がたまらなく心に刺さる上に、シーンの冒頭に国会議員の選挙のポスターを映したあとにエスンの級長選挙のエピソードに入ったり、エスンとグァンシクの駆け落ちのシーンでは路上に「家出防止期間」の横断幕がかかっていたりして、遊び心のある演出も心憎い。

 

ファーストキスのシーンの2人のやりとりなんかは初々しくて悶絶してしまう。

 

 

エスンもグァンシクも苦労や辛いことが多くて泣いてばかりだが、とにかく必死で生き延びながらも共に生きる喜びもまた全身で感じ表現する姿が尊くて二十分に一回くらい流涙ポイントがあり、見た後はぐったりと甘美な疲労感に包まれる唯一無二の作品。 


ソウルのアンコールコンサートのビハインド映像で流れていたIUの観客へのメッセージは今思えばこのドラマのある種の予告編だったような、そんな気がする今日この頃である。