不機嫌話も4回目となったのだが、最近は「プロデューサー」におけるIUの不機嫌を堪能している日々。
不機嫌になると何に対しても悪意を抱きがちになる。
悪意のことを前回書いたが、
そこで紹介したmy seaという歌で、「自分の闇に目を閉ざさない」と歌うIUの不機嫌の演技がこの上なく美しいのは、この自分の中の悪意…これは自分への悪意も含むのだろう、そして悪意を抱いたことへの罪悪感も…への自覚の賜物ではないかと思ったりする。
劇中IUが演じるトップスターシンディは、13歳でデビューして以来10年間休みなく働かされるというなんともブラックな人生を歩んでいるのだが、不機嫌の鎧の中にはなんとも几帳面でナイーブな年相応の乙女が住まっており、回を追うにつれてだんだん武装解除されて、キム・スヒョン演じる天然新人プロデューサースンチャンへのわかりやすく不器用な恋心の表現になんとも癒される。
このドラマは、ペントハウスと違い、極悪人は出てこないし、強い悪意の表出はなく隠し味程度で、登場人物たちはみんなちょっとずつ愚かで、勘違いやすれ違いから生まれる笑いや涙にしみじみとさせられる作品である。
ドラマと言いつつ、カメラアングルや構成においてバラエティー番組のような演出がなされているのもなかなか面白い趣向となっている。