悪意というもの | typの推しつ推されつ

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都内のメンタルクリニックに勤務しております。折々のお気に入りのコンテンツについて取り留めなく語ります。

復讐物というジャンルがありまして…



まず外せないのは日本でリメイクも作られたほどの大ヒット、「梨泰院クラス」。



無念の死を遂げた父の復讐をパクソジュン演じる主人公が遂げる話であるが、復讐ものと言っても、ドロドロ加減は少なくむしろ爽やかなサクセスストーリーの感が強い作品だった。


主人公の名前セロイは韓国語で「新たに」という意味なのだが、日本版でも主人公の名前が「あらた」だったのはリスペクトが感じられた(見てないけど)。


あと印象に残っているのは、「マイネーム」。



こちらは、幼くして刑事だった父を何者かに殺された主人公が、復讐のためヤクザに凄腕の殺人者に育て上げられて、父の死の真相を探るため警察官になるという込み入った設定なのだが、ストーリー展開がスピーディーでスタイリッシュな映像と、主演のハンソヒの美しさと猛烈なアクションに目眩くうちに、話数も少ないのであっという間に見終わってしまう。



梨泰院に性悪な御曹司役で出ていたアン・ボヒョンがめちゃくちゃカッコいい刑事役で出演しているのも見もの。



昔はこうでした↓


もう一つご紹介したいのが、ベテラン脚本家キムウンスクの近作「ザ・グローリー」。



これは、高校時代に金持ちの性悪少年少女達に壮絶なイジメを受けたソン・ヘギョ演じる主人公が緻密で周到な計画を立てて大人になったいじめグループひとりひとりをギリギリと追い詰めていくスリルとサスペンスと切なさと優しさと心強さが満載の話なのだが、イジメのシーンが残酷すぎて脱落した視聴者も少なくなかったとか。


ソン・ヘギョを陰で支える整形外科医役で出演しているイ・ドヒョンがこれまたいい男で…



この人はホテル・デルーナでも5月の青春でも猛烈にいい男を演じていて、生まれ変わりたい男ランキング上位に入る勢いの人である。



そして、イジメと復讐の話を延々と世代を超えて続けるのが、こちら。



2週間ほど前の記事で見始めたことを書いていたが、


あっという間にシーズン1の42話を見終わり、現在快調にシーズン2の10話あたりに突入している。


ザ・グローリーにせよ、ペントハウスにせよ。イジメる側の悪意の表出がとにかく露骨で、なんの後ろめたさも躊躇もなく、ある意味純粋で清々しいくらいだが、見ているこちらの憎悪の感情をなんとも掻き立てる。


もちろん、復讐する側に正義があるし、こちらもそちらに共感してみているのだが、正しいからといってここまでの悪意を持ってしまえることに何やら罪悪感を感じてしまう。


あるいは「正しさ」が悪意の免罪符になってしまうかもしれない、と思いつつ、見るのをやめられないのが不思議である。


もしかしたら自分の悪意という心の闇を自覚することで、人には優しくしなくては、という謙虚さが生まれるのかもしれないなどとつらつら考える。


my seaというとても好きな歌があるのだが、



↑こちらは昨年のスタジアムライブでのアンコールにおける絶唱。



この歌は、IUの少女時代からの孤独と絶望の中を生き延びた人生を淡々とそして力強く歌ったもので、その中の、


 「もう私を閉じ込める闇に目を閉じない」


という一節が身に沁みる今日この頃である。