何度も聴いていても歌詞をわかっていなかったということはよくあることで…
IUのYou And Iという曲は彼女の代表曲のひとつなのだが、中々に複雑なことを歌っている。
네가 있던 미래에서 내 이름을 불러줘
あなたがいた未来で 私の名前を呼んで
未来に会うであろう恋人に向けて歌われるフレーズなのだが、「あなたがいた」未来と言っていて未来のことなのに過去形になっている。
これは歌詞の他の部分を読むとわかるのだが、歌い手はかつて未来をなんらかの仕方で、夢なのかビジョンなのかわからないが、かいま見たことがあり、その際自分と一緒に「いた」彼に向かって呼びかけている、という構造になっているわけである。
そしてその過去に見た未来がまだ来ていないので、まだ見ぬ彼に向かって語りかけているという世界線を行ったり来たりするめくるめく体験をさせてくれる歌なんである。
ちなみにこの歌には日本語バージョンがあり、同じメロディーの部分の歌詞は、
もう一度未来で巡り会えると
となっており、原語歌詞の入り組んだ時間構造が反映されていない。音節数の制限があるから仕方ないがちょっと残念な気もする。
未来を見た瞬間からその体験は過去になってしまう。未来からの使者も未来を出発して過去に到着すると、その未来は過去になってしまう。などと書いていても訳がわからなくなる。この辺の雰囲気はSF映画「テネット」とか「メッセージ」を見ると映像で体験できるが、
この体験をわずか1行の歌詞で可能にしてくれるこの歌はやはり名曲である。
そして今年の夏のファンコンサートでは、ラストの曲として、you & iを入れ替えてi & youにしたバージョンが会場と一体となって歌われたのも激アツであった。