高学歴、高収入、高身長の男がモテるというのはtypが若かりし昭和のご時世から言い習わされていたことであるが、前回の投稿でご紹介した「東京女子図鑑」の続編である「東京男子図鑑」でも、その認識は現役であり、主人公の翔太くんは千葉の高校から慶應大学に進み一流商社に就職するというまさに三高コースを進み、自らの市場価値を上げるべく悪戦苦闘する。
このドラマの味わい深いところは、特に自分のやりたいことや夢や目標などなくて、年収や肩書などわかりやすく世の中で評価されるものを得ようと必死になっていた翔太くんが、先輩の転職やバカにしていた同期に出世コースに遅れをとって、「自分にしかできないこと」を模索し始めるところ。
今までの自分の生き方に疑問をもった翔太くんは、高校の同級生の一馬くんに誘われITベンチャーのCOOに就任することに。
COOという肩書に惹かれて転職を決めたところもありながらも、アイデアマンである一馬くんの言いっぱなしのアイデアを実現するために商社マンとして培った営業スキルを駆使して仲間と協力しながら奮闘するうちに、自分に夢はなくても誰かの夢を叶えるための仕事をするということにやりがいを感じるようになる。
この辺りの翔太くんの人柄や周囲の彼に対する評価の変化にはなかなかに胸を打つものがある。
これを見ていて思い出したのが、今年放映20周年を迎えた仮面ライダー555である。
オダギリジョー主演の仮面ライダークウガに始まるいわゆる平成ライダーシリーズの主人公は基本的に能天気で前向きなにいちゃんたちだったのだが、本作の主人公である巧くんはだいたい不機嫌で人の夢をバカにするようなすねキャラだったのが、仮面ライダーとして戦ううちに、「俺には夢がない。でもな、夢を守ることはできる!!」と言うようになり、おのれのミッションに身を捧げるようになったのだった。
メンタルヘルスの仕事もどこかで誰かの夢を叶えることにつながれば望外の喜びと思っていたりします。