耳の奥に違和感を残したまま起き上がると、どこかの遠くからモーター音が聞こえてきた。
大きな機械なのだろうか、低い音だ。どこで鳴っているのかわからない程に小さな音だ。
ぐるりと周りを見渡してもモーター音を出すようなモノは見えない。
音の低さから考えて恐らく大きな機械のはずだのに、その姿の見えない気持ち悪さに襲われた。
何かに騙されている気分だ。
胸のどこかをザラリとなでられた。嫌いな感触だ。
とにかく家へ戻ることにした。
軽くふらつきながら歩いていると耳の違和感は遠のくように消えて行った。しかしモーター音は後ろをつけて来るように鳴り続けている。
誰もいない道を、車とすれ違うこともなくモーター音を引き連れながらなんとか家にたどり着いて気がついた。
誰とも会わないというのはどういうことだ。車とすれ違うことすら無いということは何なんだ。
玄関のドアの鍵穴に鍵か入らない。サイズが違っていた。
もう一度ゆっくりと鍵穴にあてがってみても、やはり鍵穴の大きさが小さくなっていた。