とりあえず最速マシンとしてアバンテ
を挙げたい!
クリアーボディー
スタビライザー
スリップタイヤ
ハイパーミニモーター
充電式電池(TAMIYA製)
ある程度の距離であれば、ストレートからコーナリングまでコイツでいけた。
アバンテと俺は最恐コンビだった!
あいつが出るまでわ。
そう、あいつが出るまでわ。
ダッシュ0号 皇帝エンペラー
軽量化ボディーに、ローラー完備、スピードからウェイト何もかもが計算しつくしされたマシンが出やがった。
俺とアバンテの最強神話は脆く崩れて行った。
すでにノーマルでハイパーミニモーター装着時から違いが生まれた。
前ちゃんやメカニックマンさえも、もはや敵に見えた。
あの時、俺は橋の上から、アバンテにハイパーダッシュモーターを装着し車道を走らせた。
つまり、ラストランを決意した。
レストランではない…
俺はスティック片手に歩道を走り、泣きながらアバンテの最期を共にした。
その時、一台のトラックがアバンテをすれすれに通り過ぎた。
最期を感じた、こいつ(アバンテ)は車との事故で最期を迎えるんだ、と。
するとアバンテは見た事もないような、閃光の速さで坂を下って行った。
あいつは、まだ走りたがっていた。
俺は、電柱にぶつかって逆さまになったアバンテを抱きかかえ、泣きながら、何度も
「ごめんな、ごめんな…」
と呟いた。
その日を境に俺は、アバンテの更なる改造と軽量を考え一から出直した。
ウェイトバランス、ローラーでのコーナリング、タイヤのクッション、ステッカーのバランス。
もう一度、こいつと最恐を目指して、あのエンペラーを皇帝の座から引き摺り下ろすために。
日夜、研究に研究を重ね、トレーニングによるトレーニング、いつの間にか俺たちの息は、一つになっていた!
大会まで、あと何日。
と数えながらトレーニングと研究を重ねた。
大会前日、苦手だった砂利道でのテスト走行、水溜りトラップ、タイム何もかも計算通り。
あとは大会を迎えるだけだ。
これなら、行ける!
これなら、行ける!
無くした神話を取り戻せる!
また、最恐コンビの名を手にする日がやってくる!
ついに来た大会当日。
俺はこいつと新たな神話を作る!
どうやら俺たちの迫力に大会は出場停止を審議した。
それでも俺は無理矢理、こいつを走らせた!
コースを縦横無尽に走らせた。
ストレートのスピードコースだった。
スタートから相棒(ブラックフットJr)は相手マシンをぶち壊すどころか、1人ノロノロと逆走をした、みんながゴールする頃、ウネリを挙げ騒音と共にゴールした。
それが俺のミニ四駆道の最期をだった。
春も終りに差し掛かる初夏の事。
29歳になる頃だった。
こうして最恐コンビの神話は終わった…


