
20時を過ぎたころ,本日の当直医・山邊先生からPHSに連絡が入ります.「交通外傷でショック状態の患者さんが搬入されます.不穏で腹部に打撲痕があるそうです.」 部屋での事務仕事を切り上げ,初療に向かいます.初療には山邊先生,松井先生,そして循環器科の先生(助かりました.ありがとうございました.)がスタンバイしています.そして・・・
不穏状態の患者さんを連れ,救急車が到着です.第1印象は?「やばい!!!」全員が判断します.ショック状態からの不穏です!橈骨動脈は触知不可能.頸動脈も微弱.初期輸液をしようにも末梢が虚脱しなかなかルートがとれません.「よし!」循環器科の先生が何とかルートを確保してくれます.ありがたい,これで薬剤も使用出来ます.ショックの原因は?松井先生はFASTを行います.「Morison窩に液体貯留あり!膀胱直腸窩にもあり!!」 腹腔内出血からの出血性ショックです!!! 小生は医局で仮眠していた幸部先生に連絡します.
「気管挿管,緊急輸血,ERLの準備!」手術室から開腹セットがおりてきます.初療搬入から20分,幸部先生,小生,松井先生でERL開始です.麻酔は山邊先生.メスとハサミで速やかに腹腔内へ.やはり大量の血液が溜まっています.出血源は?横隔膜直下で大動脈を用手的にクランプし検索,ありました!IIIb型の肝損傷!!肝門部遮断とperihepatic gaze packing.しかし,出血の制御が困難です.腹腔内に他に出血源はありません.なぜ??もしかして・・・
突然にモニターのアラームが鳴ります.脈拍,血圧共に低下.緊急輸血のパンピングは続きます.心停止!躊躇なく左開胸,心マッサージ.蘇生しつつ肝損傷部を検索すると,やはり恐れていた損傷,肝後面の下大静脈損傷が見つかります・・・圧迫し何とか出血を制御,蘇生を試みますが・・・
救急医は,くやしい思いをした患者さんのことをいつまでも忘れません.
本日のドクターヘリ(小林,幸部先生,林看護師)
1件目 脳出血
救急隊現着後要請です.「脳卒中疑い.」との情報.血栓溶解療法の適応を考えると,非常に適切な要請です.ヘリは10分でランデブーポイントへ着陸,すでに到着している救急車に乗り込みます.やはり,脳卒中のようです.しかし,状況からは出血が疑われ,ベッドは厳しい状況ですがTECCMCへ搬入とします.
2件目 意識障害
救急隊現着後要請です.「脳卒中疑い.」との情報.続くときは続きます.救急隊の適切な判断が患者さん後遺症,予後を決めます.
7分程度でランデブーポイントへ着陸,救急車内で診察を行います.確かにCPSS 1項目は要請ですが,何かが引っかかります.家人からの情報を整理し,身体所見と照らし合わせるとどうやら内因性ではなさそうです.であればまずはTECCMCで精査としましょう.
現場での医療トリアージ,これも我々の大切な役目です.本日の写真は同ランデブーポイントのものですが,本事案とは無関係です.
本日のドクターカー(幸部先生,林看護師)
1件目 溺水
ヘリが但馬空港に帰った直後に要請です.カーでの出動.溺水後の低酸素状態.救急隊の適切な判断です.TECCMCへ向かう道中でのドッキング.カーも安定したミッション内容になってきました.








