今日で4ヶ月

　4月17日に運航を開始したドクターヘリ，今日で4ヶ月です．
　☆出動件数　336件
　　・現場出動　306件
　　・施設間搬送　30件
　現場出動がドクターヘリの一番の目的と考えています．もっともっと沢山の方々のお役に立ちたいと，我々救急医は思っています．引き続きよろしくお願い申し上げます．

　新生但馬救命救急センターが産声を上げたのも約4ヶ月前．まだまだ駆け出しのセンターですが，救命力はかなり高いレベルです (^_^)v　現状に満足せず，さらに上へ上へ！

本日のドクターヘリ
　要請，出動ともにありませんでした．平和な1日に感謝・・・今日の写真は運航終了後，但馬空港で夕陽と月に見守られて点検を受けるヘリです．

　さて，今宵もこれから緊急手術です．岡先生，幸部先生，よろしくです．ICUは岡本先生を呼び出して任せましょう．

お盆も終わり・・・

　センターにも日常が戻りつつあります．ICUも落ち着いています．胸椎破裂骨折からの大量血胸，一時心肺停止に陥りERT，ガーゼパッキングをした患者さんが完全覚醒されました．下肢も動きます．救急集中治療医がここに存在する意義をまた一つ感じることが出来ました．

本日のドクターヘリ
1件目　出血性ショック
　今日は要請もなく，初療も落ち着き平和な1日だと感じていた夕方に一斉PHSが鳴ります．救急覚知同時要請です．情報は「吐血して意識朦朧状態」．やばそうです．相棒の岡本先生，濱看護師と向かいます．3分ほどでランデブーポイント上空に到着，しかしまだ救急車も支援車も来ていません．現場を確認し上空から様子をうかがうと，救急車が現場到着したところでした．指定されたランデブーポイントより現場直近に着陸する適当な場所を上空から見つけます．1分でも1秒でも早い医療介入のためには，安全に現場直近着陸が理想です．消防から関係機関へ迅速な許可をもらい，着陸．ほぼ同時に救急車も到着します．時間ロスが極力少ないミッション，患者さんにとっては最善の医療提供となります．消防をはじめ，ご協力いただいている関係機関の皆様，本当にありがとうございます．
　救急車内で急速輸液をはじめ，TECCMCへ搬入．岡本先生がそのまま緊急内視鏡を行い，完璧に止血してくれました．

2件目　痙攣
　1件目の緊急内視鏡中に要請です．岡本先生を残し，小生と濱看護師で出動します．情報は「痙攣あり，脳血管障害の疑い」．濱看護師は何も言わずともきちんと準備してくれます．出動件数，現場経験に応じて自信も実力もついてきます．さすがリーダーナース（ちょっとだけ持ち上げときます）．着陸しなれた海岸横の公園に着陸，救急車も1分後に到着です（写真．写っているのが濱看護師）．救急車内に乗り込み診療開始．患者さんは不穏が非常に強い状態です．薬剤投与を行い，かかりつけの当院へヘリ搬送します．痙攣の原因は低ナトリウム血症でした．
　救急隊現着後要請でした．病歴，身体所見から適切な評価を行い，遠慮なくドクヘリ要請される意識と能力の高い救急隊が，我々の地域には大勢おられます．その期待に応えられるよう，我々も日々努力いたします．今後ともよろしくお願い申し上げます．

　夕方からちょっとバタバタしました．あとは今宵勤務の山邊先生，松井先生に任せて帰宅しましょう．お疲れさまでした．

本日はドクヘリの報告だけでお腹いっぱい・・・

本日のドクターヘリ（8件要請7件出動）
1件目　窒息（キャンセル）
　24時間勤務明けでこれからヘリ当番の準備を行おうとしていた矢先に要請です．ヘリは但馬空港から3分後にやってきます．小生と番匠谷先生は速攻，フライトスーツと安全靴に身を包みヘリポートへ走ります．ヘリ到着，米田看護師が資機材を積み込み，エンジンカットなしでJA818Hは大空へ．情報は「窒息，意識無し」．救急覚知同時要請です．飛行中に始業前（もはや始業中ですが）点検を行いつつ現場対応準備開始．とその時，「救急隊現着時意識清明，窒息も解除済み．出動キャンセル」との連絡です．機内に安堵感が流れます．

2件目　交通外傷（キャンセル）
　回診終了後，見られてたかのように一斉PHSが鳴ります．相棒の番匠谷先生とICUからヘリポートまでの階段を駆け下ります．ヘッドセット装着，流れる情報は「乗用車の横転事故．詳細不明」．救急覚知同時要請ですが，これだけの情報から何を考え，何を準備するか．フライトドクター，フライトナースの力量が問われます．幸い救急隊現着時，患者さんは歩行可能にて軽症，キャンセルとなりました．

　2事案とも出動後キャンセルですが早期医療介入を目指す当地域では，このような覚知同時要請，要請後キャンセルは大歓迎です．消防機関の意識の高さにあらためて感心いたします．

3件目　目撃あり心肺停止
　救急覚知同時要請です．救急車と同時にドクターヘリが要請されています．ランデブーポイントまで5分以内．ランデブーポイントから支援車で現場まで移動，治療開始です．救急覚知からここまで20分以内です！救急車で陸送に25分はかかる地域，究極の医療デリバリーシステム．豊岡ドクターヘリです！救急隊と連携しながら治療継続，ランデブーポイントへ向かいます．
　医療クルー現場活動中，ランデブーポイントではJA818Hのプチ見学説明会と写真撮影会が行われていました（写真上段）．

4件目　意識障害
　救急隊現着後要請です．情報では脳血管障害疑い．夏休みの高校テニスコートでランデブーします．現場から脳卒中対応可能な病院まで50分はかかる地域です．ドクターヘリであれば10分で搬送可能．後遺症軽減がもたらされるのは明かです．救急車内で診療開始．低血糖なし，CPSSでは構音障害あり．高体温あり．現場状況，病歴から熱中症，脱水も考えます．冷却輸液を開始しつつ，近隣の救命救急センターへヘリ搬送．輸液が入ったことで搬送中から意識レベル改善，呂律も回り始めました．良かったです．

5件目　意識障害
　救急覚知同時要請です．情報は「熱中症疑い．意識レベル低下」．ランデブーポイントまで1～2分です．着陸後，救急車を待ちます．その間，JA818Hと子供さんとのプチ写真撮影会が和やかに行われ，お母さんから「相澤先生，頑張ってくださ～い！」と声援をいただきました．すかさず米田看護師と番匠谷先生から「山Pはいませ～ん」・・・こらこら．程なく，救急車到着．熱中症を考えヘリでTECCMC搬送です．

6件目　パラグライダー墜落
　5件目を搬入直後に要請です．病院廊下で患者さんの引き渡し，引き継ぎを行って再離陸です．もちろん救急覚知同時要請．情報は「パラグライダー墜落」．夏のスキー場は絶好のパラグライダー遊び場です．しかし，スキー場は市街地から遠い！救急車現着まで20～30分かかります．ドクターヘリは墜落現場直近へ向かいます．15分後，グランド脇の崖の斜面に人影が，救急車もやってきました．ドクヘリ着陸．救急車と現場同着（写真下段）．番匠谷先生は念願の柵越え（8月7日ブログ参照）を「それっ！」の一声と共に，小生は「よいしょ」のかけ声と共に行い，救急隊と共に崖下へ．もちろんヘルメット装着，長袖着用．斜面の患者さんに外傷初期診療を開始です・・・あらっ，冷汗著明，橈骨動脈微弱，腰部の痛みをしきりに訴えます．FASTはnegative．やばいかも．早く救出して搬送しなければ．しかし，疼痛のため仰臥位になれません．急速輸液を行い，橈骨動脈が十分触知出来るようになったことを確認，鎮痛剤の投与を行い全脊柱固定！この時にサムスリングも装着．全員で斜面の上に担ぎ上げます（写真中段）．そしてそのままヘリ搬送．TECCMC搬入後，重症外傷がやはり判明しました．
　消防の適切な判断により早期医療介入と搬送時間の大幅な短縮が得られました．すばらしい！

7件目　腰椎破裂骨折（施設間搬送）
　お盆は県外の方々が沢山遊びに来られています．この患者さんも県外の方です．早期手術と長期リハビリを考え，初療から在住地の救命救急センターへヘリ搬送としました．応需いただいた先生，誠にありがとうございました．

　本日も適切な要請でドクターヘリをご活用いただき，誠にありがとうございました．今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます．さて，緊急手術が待ってます．番匠谷先生ともう少し頑張りましょう！

お盆

　世間はお盆です．帰省される方が多くなります．本日の救急外来はすでに120名を超える患者さんが受診されています・・・救急車（重症の方）の対応が最優先になりますから，必然的に待ち時間は長くなることをご了解いただきます．

　昨日のガーゼパッキング後の手術を行いました（岡先生，番匠谷先生コンビ）．無事止血完了．術後も全身状態は安定です．搬入時の予測生存率50％以下ですが，無事救命出来そうです．

　FLY TOGETHER；住民の皆様の声援を乗せました（写真上段左側）．お守りにして整備士さんの席の後ろに設置しています．

本日のドクターヘリ（6件要請4件出動）
1件目　転落
　朝のカンファレンス終了直後に出動要請です．本日の相棒の松井先生，藤巻看護師と共に乗り込みます．出動先は海岸線．情報は「5mからの転落．頭部外傷疑い」で救急覚知同時要請です．ヘリは5分程度で現場上空に到達．ちょうど救急隊も現場に到着です．お盆ですが，多くの方が海水浴を楽しまれています．羨ましい・・・上空から現場を確認し，直近の着陸可能な造成地に着陸です．そこから支援車で1分，下車して海岸まで山道を下ります．発見（写真上段右側）！どうやら道の脇の崖を転げ落ちたようです．岩場で外傷初期診療を開始．119番通報をして約25分後に海岸まで救急医がデリバリーされる地域です．primary surveyはクリア，全脊柱固定をして皆で山道を上りましょう！！数分後，ヘリはTECCMCヘ飛び立ちました．

2件目　墜落
　お昼前の要請です．もちろん救急覚知同時要請．片道17分程度かかる地域からの要請です．同時要請こそがドクターヘリの有用性をフルに引き出します．情報は「2m程度の脚立から墜落」です．頭部外傷かあ．ヘリがランデブーポイント到着数分前に救急車が現場にやっと到着です．救急車の搬送時間が長時間となるこの地域では，本当にドクターヘリは有用であると日々実感しております．ランデブーポイントで待つこと5分少々，救急車がやってきます．ここでも速やかな外傷初期診療を開始．幸い意識も清明，大きな外傷も見当たりません．これであれば脳外科のない二次病院でも大丈夫．救急隊のみで直近二次病院への搬送としました．病院前から緊急度，重症度に応じた搬送先のトリアージを行うこともドクターヘリの有用性です．

3件目　意識障害
　2件目の対応中に要請が入ります．要請場所，内容を確認し，2件目のランデブーポイントから早々に3件目に向かいます．ここからなら約10分，間に合うはず！情報は「意識障害」のみ．松井先生，藤巻看護師ともども機内で水分補給しながら準備を進めます．ランデブーポイントの近くにくると，「現場直近にスペースあり．そこに着陸願う」との無線．いち早く患者さんに接触出来そうです．消防の安全確保，支援のもと道路横の駐車スペースに着陸（写真中段），ここで救急車に乗り込み診療開始です．患者さんは・・・脳血管障害が強く疑われます．ならば速やかにTECCMCへ搬送しましょう！気道，呼吸，循環が保たれているので，当然へリポートからのdirect CTで診断も最速です．

4件目　脳梗塞（施設間搬送）
　お盆は県外から遊びに来られている方が多く，この患者さんも京都の南側から来られていました．突然の脳梗塞．状況は芳しくありません．療養を含めた長期の医療介入が必要になります．であれば，まだ安定している今，京都の病院へ転医としましょう．転医交渉は救急医の大切な仕事の1つ．幸いにも自宅近くに転医を受けてくれる病院が見つかりました．状態を考え，ドクターヘリでの転医です．運行管理室がヘリポートなどの調整を行ってくれます．今回は京都府警のヘリポートを使用させていただくことになりました．TECCMCから約35分で到着．陸路ならお盆の渋滞を含め4時間はかかるでしょう．ヘリポート（写真下段）で転医先の先生方に申し送りを行い，観光客で賑わう京都の名所を眼下にTECCMCヘ帰投しましょう．
　京都府警航空隊の皆様，ご協力に感謝申し上げます．

　今宵は24時間勤務．初療もICUも平穏であることを願って止みません．

13日の金曜日

　本日は13日の金曜日でした．あまり気にしないのですが，本日は林フライトナースのデビュー日です．ドクターカー，消防防災ヘリなど病院前救急診療の経験は豊富ですが，朝から少々緊張の面持ちです．朝の点検に始まり，朝礼・・・怒濤の1日が始まります．

　救命救急センターの初療はお祭り騒ぎでした．ERL，血管造影（TAE），多数の救急搬入，とぎれないWALK IN・・・日勤責任者の番匠谷先生，大変お疲れ様でした．

本日のドクターヘリ（7件要請5件出動）
1件目　交通外傷（バイク事故）
　朝礼終了後，カンファレンスまでの一時，一斉PHSが鳴ります．本日の相棒，岡先生と林看護師とヘリポートへダッシュ．片道15分弱の場所，情報は「年齢，性別不明．バイク事故．かなり投げ出されている」です．林看護師は点滴ラインを2本作成，加圧バッグも付けます．救急隊現着後の追加情報からショックが疑われます．急がねば．ランデブーポイントにはすでに救急車到着済み．救急覚知から20分少々で外傷初期診療開始．同時要請だからこその時間です．患者さんは・・・「腹腔内出血からの出血性ショック！！」　岡先生は気管挿管，小生は末梢ルートを2本確保し急速輸液．橈骨動脈は触れません．ERLあるいはERTが必要か？重症外傷です．迷わずTECCMCへ搬送です．機内で，やはり腹腔内出血が増加しています．橈骨動脈はいまだ触知不可能・・・日勤責任者の番匠谷先生へERLと緊急輸血のオーダーを到着前に行います．TECCMCへ着陸，初療までストレッチャーごとダッシュ！
　初療搬入，FASTで腹腔内出血増加！緊急輸血を行いつつ胸部，骨盤レントゲン撮影，そしてERL．受傷から1時間以内に止血完了です．脾損傷．脾臓は2分割されズタズタです．脾臓摘出，回りの組織からの出血はガーゼパッキングです．ERLは30分程度で終了．血圧も上昇します．しかし，その後の造影CTで骨盤骨折に伴う造影剤の血管外漏出が認められます．ならばサムスリングで固定し血管内塞栓術です．小生，番匠谷先生で最速の塞栓術，そして，創外固定．呼吸も循環も安定しICU入室です．明日，ガーゼ除去の手術をしましょう．
　ドクターヘリ，外傷外科医，救命救急センターの診療システムだからこそ救命し得た症例ですが，一番は消防の適切なドクターヘリ要請，これにつきます！

2件目　溺水（キャンセル）
　ERL終盤に要請です．岡先生は術者なので小生だけで出動です．片道20分少々．救助中のドクヘリ要請です．救急車で近隣病院への搬送が早いか，ドクヘリにより早期医療介入が早いか．それは患者さんの救出状況にもよります．まずは覚知段階での同時要請で，このようにドクヘリを飛ばすことが重要なのです．

3件目　胸部刺創
　2件目からの帰投途中での要請です．情報は「包丁で胸を刺した」です．ランデブーポイントから支援車で現場へ．板に付いたミッション方法です．さて現場到着．患者さんは？包丁が胸に刺さったままで非常に厳しい状況です．気管挿管，骨髄輸液路確保，薬剤投与を行いつつ救急車に収容です．ランデブーポイントへ救急車を走らせながら開胸．「あっ，心臓が・・・」　厳しい状況のままTECCMCへ搬入です．

4件目　アナフィラキシーショック
　1件目の血管造影開始直前に要請です．小生は血管造影を，岡先生がドクターヘリ単独乗車とします．山の中のランデブーポイント．蜂刺されによるアナフィラキシーショックです．現場から適切な治療を行いながらTECCMCへの搬入です．
　アナフィラキシーショックは時間との勝負です．消防の適切なドクヘリ要請が症状の悪化を防ぎ，早期改善をもたらしました．

5件目　溺水
　血管造影も終わり，創外固定にかかるところでの要請です．岡先生，小生ともに乗り込みます．救急覚知同時要請．「溺れた」という情報．ランデブーポイントから現場まではいつも通り支援車で移動です．移動中の無線で状況が非常に厳しいことを知ります．現場到着．小生はオートパルス，岡先生はトーマスバッグ，林看護師は他の資機材をもって走ります・・・波打ち際の浜辺をダッシュです．今年始めての海．フライトスーツに安全靴．汗なのか海水なのか，もはやわかりません．現場で救急隊と共に出来るだけの治療を行います．しかし，状況は改善することなく・・・時にはこのような厳しい現場もあります．

　全ての症例に早期医療介入と搬送時間短縮といった有用性を認めました．消防の皆様，ヘリの有効利用，本当にありがとうございます．

　本日の写真は真剣に診療を行う岡先生，林看護師（左上），ランデブーポイント（ドクター，ナース現場派遣中）では近隣住民の皆様への内覧会と写真撮影会です（右上と下）．機長さん，整備士さん，ありがとうございます．住民の皆様へこのような形でドクヘリを紹介出来れば良いと思っています．

　本日もお疲れ様でした．爆睡します．

FLY TOGETHER

　先月行われた「サンスト夏の夜市」で，皆様にいただいた激励の言葉と写真がUSBの中にまとめられました．明日，朝の点検時にドクヘリ内に設置します．250を越える声援と共に明日から現場に飛び立ちます．市民の皆様に支えられながら日々の医療に精進いたします．

　本日は台風の影響か，人の動きも少なく比較的穏やかな救命救急センターでしたが，やはり脳外科週間，頭部外傷の緊急手術がありました．救命救急医療を経験している脳外科チームとのコラボはいつも迅速です．患者さんにとっては最高の医療チームであると自負しています．「また，救命からですか？」「ハイ，また救命です．よろしく！」自信に満ちあふれたドクター同士，余計な言葉はいりません．いつもありがとうございます．感謝です．

本日のドクターヘリ
　要請，出動ともありませんでした．月に1～2日はこのような平和な日があります．

　明日はどんな1日になるでしょうか？さて，緊急手術に出掛けます．

流行り

　不思議と救命救急センターに入院される患者さんには流行りがあるようです．今は「外傷」，「脳血管障害」，「熱中症」です．先週末から脳外科チームは緊急手術の連続です．お互い体調には気をつけてがんばりましょう！

　本日の写真は番匠谷友紀工房の1枚です．ドクターヘリに乗り込む孫悟空，いやいやフライトドクターです．背負うはトーマスバッグ，頭に巻くは聴診器です．お楽しみください．

本日のドクターヘリ
1件目　胸痛
　朝のカンファレンスが始まる直前にPHSが鳴ります．新しいcapをかぶって出動です．救急覚知同時要請．情報は「胸痛．狭心症の既往あり」です．ランデブーポイントは日本海を見下ろすグランド．JA818Hは美しい日本海を眺めながら着陸します．程なく救急車がやってきます．今日の相棒は岡本先生と林田看護師．患者さんは胸痛を訴えています．心電図，心エコー・・・ん～心筋梗塞かあ？？呼吸音左右差なさそう．酸素化も問題なし．病歴と既往から急性冠症候群をまず疑い，かかりつけの当院への搬送とします．機内でも胸痛持続．やはり心カテか？10分もせずヘリはTECCMCのヘリポートへ着陸．初療へ搬入します．さあ，急性冠症候群であれば時間との勝負です．型どおりに診療を進めます．「あっ，これかあ原因は！」　初療担当医の岡先生．10分後，胸腔ドレーンが留置され，患者さんの胸痛はなくなりました．
　すっかり騙されました岡本先生，小生は「現場では呼吸音左右差ないし，酸素化も問題ないし，心電図も，ほらここST上がってるでしょ！」と，見苦しい言い訳を岡先生にしてました．病院前救急診療は何年やっても難しいです．

2件目　意識障害
　午前中に2件目の要請です．情報は「突然の意識障害．脳出血を疑う」です．ランデブーポイントは遊園の駐車場．たくさんの人々が見守る中，着陸です．救急車は2分前に到着済み．車内に乗り込み診察を始めます．意識レベルIII桁．鑑別を行いつつ，脳血管障害が疑われれば気管挿管の必要があります．ピ～っ！血糖測定完了のお知らせ．「あっ，これかあ原因は！」　数分後，ブドウ糖を投与された患者さんは目覚められました．
　ヘリによる早期医療介入により低血糖の遷延を最小限に食い止めることが出来ました．

3件目　転落
　午後の静寂をやぶるように一斉PHSが鳴ります．小生，林田看護師が乗り込み，ちょっと遅れて岡本先生がやってきます．「痛！！」どこからともなく叫び声．「あっ，これかあ原因は！」　数秒後，壁につり下げているシリンジポンプの角に頭をぶつけた岡本先生が頭を抱えてました．ちょっとしたアクシデントは見てみないふり．患者さんに集中です．情報は「10mからの転落．現在救出中」です．ランデブーポイントから現場投入の可能性もあります．気流の悪い中，JA818Hは安全にランデブーポイントへ着陸．そこからパトカーに乗って現場に向かいます．警察のご協力に感謝いたします．途中，救急車と道路上でドッキング，外傷初期診療の開始です．1秒でも早い医療介入が実現されているすばらしい地域です．初期輸液を開始，救急車を走らせながらFAST施行．状態が安定したことを確認し外傷はヘリでTECCMCへ搬送です．
　1つの命を救うために医療，消防だけでなく警察の協力も得られるのは心強いかぎりです．

　今宵の初療も大忙しです．救命救急センターの空きベッドもやばい状況ですが，まあ何とかなるでしょう．では仕事に戻ります．

その2 台風なんかどっか行け！

　台風が近づいています．ドンヨリとした雲と午後からは雨．有視界飛行のドクターヘリには天敵です．さっさとどっか行って欲しいものです．

　ここ数日，TECCMCはかなりの忙しさです．5～7名程度の救命病棟への入院，手術，緊急手術後の管理など総動員で対応中です．夏バテしなように，皆で乗り切りましょう！

本日のドクターヘリ
1件目　意識障害
　回診終了後，初療でカルテチェック中に一斉PHSが鳴ります．救急覚知同時要請です．青空に白い雲がたくさん浮かんでいる但馬の空へJA818Hは舞い上がります．「意識無し，呼吸あり」の情報．5分もかからずランデブーポイントへ着陸，救急車を待ちます．本日の相棒は伸び盛り若手救急医の三浦先生と，暑さには弱いしっかり者米田看護師です．救急車到着，三浦先生はABC checkしCPSSの確認，小生はルート確保し血糖チェック，米田看護師は2人のサポートをしつつ体温チェック．救急隊は間合いをみながら情報提供．皆，何も言わずとも息はぴったりです．低血糖なし，体温40度．屋外での作業後のようです．重症の熱中症が疑われます．冷却輸液を行いつつTECCMCへ搬送．初療搬入30分後には意識レベルも改善傾向にありました．
　適切なヘリ要請が後遺症軽減につながりました．ありがとうございました．

2・3件目　交通外傷（多数傷病者）
　雨が降り始めた午後，PHSが鳴ります．午前中とは大違いのドンヨリした空にJA818Hは飛び出します．運航管理室からの情報，「乗用車が川に落ちた．傷病者5名」　一同に緊張が走ります．米田看護師は輸液数の確認と準備，小生はトリアージタッグの確認と番号記載，三浦先生は・・・自分の気分を落ち着かせます．10分もせず現場上空．直近に着陸する適当な場所がありません．ならばランデブーポイントへ着陸し支援車で現場に行くことを考えます．着陸，ヘルメット装着．支援隊に情報を求めると，今救急車1台が現場出発したとのこと．続いて2台目も現場出発するとのこと．ではランデブーポイントで待ちましょう．1台目，患者さんは重症頭部外傷でトリアージ「赤」です．三浦先生，米田看護師に指示を出し，やってきた2台目に小生が乗り込みます（写真）．現場トリアージ「緑」の患者さんが3名乗っています．一斉に声をかけると2名は元気に返答があります．あれ，奥の1名・・・あやしい．トリアージをします．元気な返答をした2名は「緑」のまま．残った1名はやはり「赤」です．呼吸困難と胸部外傷疑い．幸いバイタルは安定しています．ここで，現場から軽症「緑」の患者さん2名を直近の二次病院へ搬送した旨，報告を受けます．結果的に6名の患者さんが発生，内2名が重傷者です．では重傷者のどちらを優先搬送するか？頭部外傷の患者さんは瞳孔不同が出てきています！「ピストン搬送！頭部外傷優先，胸部外傷は救急車でTECCMCへ向かいつつ途中でヘリにピックアップ！！軽症の2人は違う二次病院へ」　なんだか先日やったことのお復習いのようです．頭部外傷は三浦先生が担当し1人で搬送，胸部外傷は小生と米田看護師が担当します．ヘリの離陸，救急車の出発，空に陸に命をリレーします．TECCMC着陸したJA818Hはエンジンカットせず患者引き継ぎ，そのまま再離陸です．陸路を出来るだけTECCMCへ向かった救急車は海辺の公園でJA818Hとドッキング，患者さんと小生達はピックアップされ3分後にTECCMC到着です．

4件目　小児の意識障害
　2・3件目の出動中に要請があったようです．3件目の搬入直前に出動要請が入ります．3件目の患者さんをエンジンカットなしで引き継ぎ，速効で離陸です．陸送では40～50分かかる地域からの搬送です．少しでも早い医療介入を考え，救急隊は出来るだけTECCMCヘ近づいて来てくれてます．ランデブーポイントは隣の消防の管轄ですが，快く協力してくれます．本当に消防同士の協力・連携には頭が下がります．ありがとうございます．ランデブーポイントで救急車内の子供さんを診察します．レベルIII桁．救急隊から情報を聞き，速やかなヘリ搬送へ切り替えます．TECCMCでは救急医と小児科医がお出迎えです．

　本日も濃いドクターヘリでした．消防機関との連携，消防同士の連携などこの地域は本当にすばらしい所だと日々実感しています．1人でも多くの命が救えるよう，今後ともよろしくお願い申し上げます．

その1 出来ました！

　暑い，暑い太陽光線を少しでも和らげる武器を手に入れました！「TECCMC DOCTOR HELI CAP」です．デザインはもちろん番匠谷友紀工房．さすがです．

　明日から現場にかぶって出動します．

今日は

　あっさりブログです．岡先生，幸部先生と手術を終えての記録です．

本日のドクターヘリ
1件目　槍創
　今日は森田フライトナースの復活日です．復活を迎えるかのように一斉PHSが鳴ります．情報は「刺さった！血が！！」です．どうやら海水浴中にモリが下腿に刺さって，出血しているようです．海水浴場の横に着陸，涼しげな海水浴中の皆様を横目に救急車に乗り込みます．バイタルは問題なし．幸い出血も止まっているようですし，神経学的な損傷もなさそうです．モリの刃が硬すぎて切断を断念，そのまま固定しTECCMCへ搬送です．救急車で揺られて40分以上かかる地域です．搬送中に刃先が動いて副損傷を起こすことを考えると，ヘリの要請は正解！ヘリ離陸後10分後にはモリ除去術が開始されました．

2件目　意識障害（キャンセル）
　夕方日没間近の要請です．「意識無し」の覚知同時要請です．離陸後5分で「救急隊現着時意識あり」でキャンセルとなりました．良かったです．このような要請をおこなってくれる消防の意識の高さが，後遺症軽減，救命率向上をもたらしているのでしょう．今後ともよろしくお願い申し上げます．

　さて，明日からも体調を整えて頑張ります！