中絶の日 | ひびきの異常な日常

ひびきの異常な日常

放浪旅が好き。
女も好き。
でも女性不信…
本当の愛ってなんだろう…
顔とセックスだけは自信がある浮気ばかりのクズ男。
セックス依存症なのかもしれない。

常に満たされない気持ちと劣等感。
現実でポジティブを演じる自分はここには居ない。

『会いたいくないから、お金は振り込みしてほしい』

そうNからLINEが届いた。


もし2人で会えたら、泡姫としての仕事に嫉妬していた事。

体目的や本営と思うと言われて、辛かった事。

その誤解を解くために、言わなくても良い事を言ってしまった事を話したかった。

しかし、Nは会いたくは無いと言ってきた。


そりゃあ、そうだろう。

不倫の関係に疲れて、子供も孕んで、仕事へも行けなかった。

今でも僕に遊ばれたと思っているのだろう。


しかし、この『会いたくない』の真意を考えてしまう僕もいる。

もう嫌で、顔も見たくないからなのか。

会うとまた、気持ちがブレてしまうからなのか。

後者だと嬉しい僕もいる。

自分勝手な男だなと、思う。


それでもこんな形で不倫が終わる事が出来たのは、まだ良いのかもしれない。

他の女なら騒ぎ立てて、店の常連や妻にバレたり。

鬼のようなLINEが届いたり。

僕も不幸になれと、追い詰めてきたかもしれない。


もしまた関係が戻ってしまったら。

今度こそ妻にもバレるだろう。

店の経営も傾くかもしれない。

妻と娘と愛人。

限りある時間で、この3人を同時には相手出来なかっただろう。

これで良かったのだと思う。


後は、また店に飲みに来れるような関係に戻すだけ。

勘の良い常連は気付いてしまうだろう。

でも、孕んで中絶させたマスターの店に来るのか?

この前は何故来た?

今思えば、昔別れた元カノも最後に会いに来ていたっけ。

まるで自分の気持ちを確認するように、その日を最後に完全に来なくなった。

女とはそういう生き物なのだろうか?


中絶費用は約20万。

Nからの請求はこの20万だけだったが、振込は30万入れる予定だ。

身体に負担をかけさせてしまった事。

今まで僕に使った金額と、仕事に出れなかった収入を考えても安いくらいだが。


風俗嬢。

感覚も価値観も人とはズレていた。

知らない男に抱かれて得るお金。

そんな仕事を出来る女なんだと、改めて思ってしまっている僕もいる。

結婚?

本当にNと結婚していたら、幸せになれただろうか。

昔、孕んだ人妻と結婚を考えた事があった。

お腹の子は旦那か僕かわからないという。

僕は子供3人と人妻の面倒見ると言っていた。

素に戻ると、結婚しなくて良かった。

あの時と同じ感覚の僕が居る。

結婚しなくて良かったと思う。


好きで大好きで、盛り上がってしまった2人の関係と僕の気持ち。

結婚とは言ったがNも人妻も、僕より現実的思考だった。

これで良かったのだと思う。


大きなトラブルや面倒もなく。

ただ僕が嫌われて、お金で解決出来たのなら。

それで良かったのだと思う。

僕ももう50歳になる。

ここで独り身も辛い。

もし独身で娘が居なかったら、結婚していたのだろうか?

毎日が不安で一杯だっただろう。

最後の恋と、最後の結婚のチャンスと。

焦っていただろう。

結婚しても不安でいっぱいだったと思う。

だって、お互いを知ってまだ3ヶ月なのだから。

お互いをまだ何も知らないのだから。


ある意味で妻と娘の存在が、僕の暴走を間接的に止めてくれていたのだろう。


もう家に帰ろう。

昔のように。

ノーゲスになったら、1時間以内に帰ろう。

そして、ちゃんと妻と向き合おう。

女で遊びたければ。

アブノーマルなセックスをしたければ。

また金を払えばいい。

後腐れなく遊べる店がたくさんあるのだから。

Nが働いている店のような、、、