二人の元カノの夢 | ひびきの異常な日常

ひびきの異常な日常

放浪旅が好き。
女も好き。
でも女性不信…
本当の愛ってなんだろう…
顔とセックスだけは自信がある浮気ばかりのクズ男。
セックス依存症なのかもしれない。

常に満たされない気持ちと劣等感。
現実でポジティブを演じる自分はここには居ない。

二人の元カノの夢を見た。



一人目は5年付き合ったアヤ。



僕は知らない家に住んでいた。
その家には屋上があった。

僕とアヤはその家の屋上に居た。

そしてアヤは妊娠をしていた。

「こんなに大きくなったよ。もう苦しくて。」
そう言うと一人で泣き出した。
そのお腹の子は自分の子と確信した。
『それじゃあ結婚しよう。』

それを言おうとすると、アヤは急に走って逃げ出した。

お腹の子が心配で僕は必死に止めようとしたが追いつけない。

アヤは笑いながらジャンプをしたり、転がってみたり…。

まるで流産を望んでいるような行動だった。

僕はやっとの思いでアヤを捕まえた。

彼女はただ一言、
「大丈夫。」
と言っていた。
僕は涙が止まらなかった。

二人目は今でも忘れられないヒロコ


夢は続いていた。

泣きながら、僕は屋上から外へと足を踏み出した。
外は海岸だった。
どうやら僕の家は海沿いにあるらしい。
何故、屋上から足を踏み出したのか。
自殺をしようとしたわけではないとは思うが…。
とにかく玄関を出るように屋上から外へと飛び出したのだ。
海岸は海へ向かってとても急斜な砂浜になっていた。
海ではサーファーが波を待っていた。
ふと横を見ると、遠くから女性が一人歩いてきた。
二人目の元カノだった。

ヒロコは黙って僕の隣に座った。

僕も静かに隣に座った。
「波乗りに行けば?」

とヒロコは言った。

「波が小さすぎて僕の板では無理だな。」
「本当はもっとこうしていたかったんだけどね。」
と、彼女は言ったが僕は何も言葉を返せなかった。
「波は小さいけど、海に入ろうか。」

そう言うと僕はヒロコの手を引いて海へと駆け出した。

ヒロコは服が濡れるから嫌だと言っていた。

僕は気にせずヒロコと一緒に海に飛び込んだ。

二人は笑っていた。

するとヒロコは服を脱ぎ出した。

裸になったヒロコは背を向けて走り出した。

僕はヒロコを追いかけ、抱きしめた。


するとヒロコは泣きながら激しく抵抗してきた。

「何で泣くの?」
「わからない。泣きたくなる。」
「家に帰ろうか。」
「…うん。」
「家のシャワー浴びて帰れよ。」
「うん。」

僕は自分が着ていたシャツをヒロコに着せた。

「本当はまだ好きなんだよ。」
彼女はそう言ったが、僕は頷くだけで何の言葉も返さなかった。

家に着くと、パトカーやら消防署やらが止まっていた。
どうやら近くで殺人事件があったようだ。
壁に焼け跡もあるらしい。

ヒロコは今すぐ帰ると言い出した。

僕は止める事はしなかった。


せめてバイクで送ると言い、ヒロコをバイクに乗せて家まで送った。

「犯人、まだ捕まってないみたいだね。気を付けてね。」
僕はそう言うと自分の家へと戻った。

家に着くと相変わらず大勢の警察官が調査をしていた。
「何があったんですか?」
野次馬のおばちゃんに聞くと、
「殺人だって!若い女性が殺されたの。」
若い女性?誰だろう…。
その瞬間、
「足跡を見つけたぞ!」
警察官が大声で叫んだ。
僕の近くに居た警察官が、
「これで犯人が捕まるよ。足跡を合わせれば一発だ。」
と笑いながら僕を見ていた。

僕は自分の履いている靴と足跡を交互に見た。

そして、きっと犯人は僕なんだろうと思った。

若い女性は誰なんだろうか。
妊娠した元カノなのか。

それとも、今カノなのか…。


僕は泥が付いた靴を履いたまま家へと上がった。
砂浜で付いた泥は、家の廊下に足跡となって張り付いていった。
その足跡を、確認する勇気は僕には無かった。