「月と蟹」小学校の頃のあの感じ。 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

月と蟹/文藝春秋

じっとり:28282828 /5
気になる展開:17171717 /5


道尾秀介さんの
「月と蟹」を詠みました。


父が癌に倒れ、
母の純江とともに
祖父昭三のもとに引っ越した慎一は
新しい学校に馴染めずにいた。

しかし、同じように別の土地から
越してきた春也とは
気が合い、一緒に浜辺で遊ぶ仲になる。

二人は山の上に秘密の場所を見つけ、
”ヤドカミ様”を祀る遊びに没頭する。



読書会でご紹介頂いた作品です。
道尾作品はまだちょっと苦手意識が
残っていたんですが、
(ブロガーさんたちのオススメ作品を読むうちに
 だいぶ好きになったんですが)
道尾作品の中でも異色とのことで
気になっていました。

学校と友達と家族という
限られた範囲の中で
子供らしい嫉妬、願望、残酷さが苦い、
そんな作品でした。

父を亡くした母親が
男性と会っていることが
相手を殺してしまいたいほど嫌だったり、
大事な友達が小さなきっかけで
不幸を願うほど憎くなってしまったり……。

その極端で不器用な感じが
妙に懐かしく、
いまだに未熟な自分の根底に
あるような気がして苦ーい気分になります。

しかし、この苦さが
妙に快感……。

薄暗くて、じっとり、
海辺の潮風がベタベタと絡んでくるような、
それでいて、目を離せない
そんな作品でした。

おもしろかったです。
ありがとうございました!