「雨月物語」ぞわり | 本の話がメインのつもり

本の話がメインのつもり

気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

雨月物語/光文社

怖い:ホラーホラーホラー /5
切ない:かなしいねかなしいねかなしいねかなしいね /5


岩井志麻子さんの
「雨月物語」を読みました。

『白峯』
 崇徳院が没してからずっとそばにいる女。かつては多くの皇族・貴族たちを
 魅了したが、今は恐ろしい異形と成り果て、怨みと怒りで満たされた
 ”あのお方”すら女の正体には気を留めない。

『菊花の約』
 子が生まれる春には会いに来るといったのに、とうとう男は来なかった。
 息子の左門は裕福な親戚の援助も断り、清貧を貫き、
 よく学問をする子だった。ある日、左門は倒れた旅人を介抱する。

『浅茅が宿』
 真間の手児女(てごな)は履物も持たぬ貧しい娘だった。しかし都の
 貴婦人よりも美しい容貌で多くの男たちに言い寄られる。彼女は
 そんな男の一人に殺され、この世に未練を残しすぎた悪霊となる。

『夢応の鯉魚』
 鯉女の名前で遊郭にいた女は裕福な男に身請けされ、琵琶湖に
 家を与えられる。旦那の訪れを待つ間、湖で水浴びをすることが
 楽しみだった。ところが、僧侶の興義に襲われ、殺されてしまう。
 
『仏法僧』
 その美貌が取りざたにされがちだったが、自分の職務には
 むしろ邪魔だった。しかし、あの方は自分の本質も見極め、
 そばに置いてくれたのだった。

『吉備津の釜』
 磯良(いそら)は生まれついて美しく、心優しい娘だった。裕福な
 家との縁談も決まったが、吉備津神社の神事でその縁組は
 吉兆とはでなかった。

『蛇性の淫』
 漁業を営む家に嫁入りをした。たくましく粗野な男たち囲まれ、
 末の弟豊雄だけがまるで女のような容姿で漁師町には相応しく
 なかった。やがてその豊雄と関係をもってしまい……。 

『青頭巾』
 快庵禅師がその村を訪れると人々が「山の鬼が来た」と騒ぎ出した。
 山寺に住み人肉を食うという住職と間違われたのだ。村人たちの
 もてなしへの礼として快庵禅師は山寺の住職を元のよき本心に戻そうとする。

『貧福論』
 金を蓄えて冨貴になるのを願う気持ちが人一倍強い岡左内のもとに
 ある夜、黄金の精霊だという小さな老人が現れた。精霊は左内が
 日頃から黄金を手厚く遇することに礼を述べに来たという。



参加はできなかったのですが
読書会で課題図書になっていた作品を
一人こっそりと読んでみましたよ。

上田秋成の雨月物語を
岩井氏が女性目線で
アレンジしてじっとりと綴ります。

湿り気がすごいですね。
”怖さ”よりもじっとりねっとり……。
何か嫌なことが起こる予感だけが
常に作中に浮遊している気配です。

学校で原作を習ったときは
こんな印象じゃなかった気がしますが、
これも岩井氏のアレンジの
すごさなんでしょうか。

もう夏も終わってしまいましたが、
雰囲気があって
とっても面白かったです。



そういえば、
貴志祐介さんの
「十三番目の人格―ISOLA」って
雨月物語が、
なんか、アレなんですよね?

十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA