ホエールです。
カヤックフィッシングは本当に素晴らしい趣味です。自分の力で漕ぎ、自分の力で魚を見つけ、自分の力で釣る・・・この達成感は素晴らしいものがあります。
そして、なによりあの素晴らしい海抜0mからの景色・・・
ただ、人間の生息圏外へ出ていくわけですから、そこには当然リスクがあります。
そのリスクを理解して、カヤックフィッシングを安全で事故なく続けていくこと、それが、この趣味を楽しんでいく上でもっとも大切なことです。
もちろん、自然相手の趣味ですから、想定外の事態が起こることがあります。予報が外れてしまったりする天候の急変などがもっとも懸念される部分だと思います。
また、正直、最初は沖へ出ていく時にドキドキだったものが、だんだん慣れて麻痺してしまう部分があります。そこにケアレスミスが発生することがあります。
私もこれから秋まで、まさにカヤックフィシングのベストシーズンとなり漕ぐ機会がぐっと増える今、もう一回気を引き締めていきたいと思います。
そうした危険察知、リスク管理の経験値の蓄積という観点から
Kayak55のホームページ上で
カヤックフィッシングでの事故・トラブル・ヒヤリハットのレポート募集
というコーナーを設けています。
ここでは皆様からの安全面でちょっと危ない思いをしたり、マナー面などでこういうトラブルが実際にあったなどの経験をお送りいただく企画です。
いただいた内容は、海上保安庁さんとの会合などの時に資料として持っていかせていただこうと思っています。
内容はなかなか個人情報などの観点からあまり具体的にはブログやウェブ上では発表はしにくい部分もありますが、今日上記コーナーにお送りいただいた事例を部分的にですが報告させていただきます。
このレポートをお送りいただいた方はスキー・スノーボードのパトロールをやっていたアウトドアの熟練者の方で、スノーボードが流行り出した当時と重なったそうです。
<今回、お送りいただいた内容(抜粋)>
フラッグ未着用のカヤックがいて注意しようと近づいたらライフジャケットも未着用だった。自分の目を疑いました!あまりにも身勝手過ぎで酷すぎます。
スノーボードが流行り始めた当時、マナーの悪い人が増えてゲレンデはトラブルが続き、高級ボードを持っているのに身を護る帽子やゴーグルなど未着用で怪我人が続出、スノーボード禁止のゲレンデが一気に増えてしまった。その時の状況が今のカヤックフィッシングの現状に似ています。
そんなスノーボードも現在、オリンピック競技になり、ゲレンデは初心者から競技者まで楽しめるものとなっていて、そのためにはマナー向上、危険な遊びであるという自覚が必要だと考えます。
とても貴重なご報告とご意見、ありがとうございます。
正直、kayak55やこのブログを見ていただいているカヤックアングラーの方の中にはフラッグ未着用やライフジャケット未着用の方はいないので、ここで書いても意味がないのかもしれませんが・・・・
それでも、これからカヤックフィッシングを始める方の参考にしていただくために記載をしておきたいと思います。
フラッグ
海のカヤックフィッシングでは今では当たり前の装備となっています。(※淡水では不要と考えます)
なぜフラッグが必要か。いまいちど、考えてみていただければと思います。
●まず海岸線沿いを漕ぐツーリング用のシーカヤックと違ってカヤックフィッシングは沖にポツンといることが多い点。
●基本的には移動が目的であるツーリングカヤックでは常時パドルが回転して視覚的にも明滅していますが、カヤックフィッシングではパドルを止めてしまう点。
●パドルを止めてしまうとカヤック自体は通常どんなに厚くてもせいぜい40cm、水に浮くと20cmぐらいしか水面から出ていないので、他の船からほとんど見えない点。特にうねりが入ったら完全に消えてしまう点。
●衝突回避の面で、フラッグを掲げることで他船に自艇がいることをアピールできる点。
そのため、カヤックフィッシング黎明期より、フラッグを立てることを推奨してきました。
フラッグ未着用の方がよく指摘するのは「法律で決まってるわけではない」という点。フィッシング用カヤックが日本が始まったのが2003〜2004年頃。そのような新しい文化で、しかも人口が少ないものに法整備が追いつくわけがないのです。ですから法律上はフラッグは義務ではないです。
ですが!
海上保安庁さんもフラッグの装備を強く推奨しています。
万が一の時に救助をお願いすることになる海上保安庁さん。その海上保安庁さんが装備して欲しいというアイテムをつけない理由はないですよね。
フラッグは自作でも十分だと思います。その海域によって出るウネリで消えない程度の長めのフラッグ、視認性の良いカラーのフラッグをぜひ装備していただければと思います。(個人的にはオレンジ色の旗が一番目立つと感じています)
先日おこなわれたカヤックフィッシングジャパンカップのご参加の皆様の艇、全員フラッグ装備です。
つづいて・・・
カヤック用ライフジャケット
これはフラッグ以上に必須です。ライフジャケット類をつけずにカヤックに乗るのはありえないです。
以前、海上保安庁さんのプールを使ったレスキューイベントに参加したことがあります。
まず着衣状態で泳ぐことは本当に難しいということを体験できました。
そして、ライフジャケット無しで救助を待つ「背浮き」もやってみました。
「背浮き」は無駄に体力を使わずに救助を待つ姿勢なのですが、普段から練習していたとしても、いや普通は練習はしないので、とても長時間それで救助を待つのは不可能だと感じました。
口がちょっと水面から出ているだけになるので、荒れている海ではとても厳しいです。
やはり、絶対的にライフジャケットは必要です。
カヤックではPFD(パーソナルフローテーションデバイスの略)と呼ばれますが、同義語です。
その中でもやはりカヤック用のライフジャケットを私はおすすめしたいです。
釣り用のライフジャケットは浮力が弱めのものがあり、もしもカヤックと自分が離れてしまって救助を待つ際にやや不安があるものもあります。
またウェーディング用のベストなどルアー収納をメインにしたライフジャケットは漕ぎにくく(身体を使ったパドリングをした時に左右に大きくずれる)、また、もしもカヤックから落水した際にポケットがひっかかって再乗艇がとてもしにくいです。
あと、インフレータブル式のライフジャケットもカヤックには向きません。インフレータブル式は浮力も強く救助を待つには最適なのですが、泳いでカヤックに再乗艇するのが困難です。
やはり漕ぎやすく、泳ぎやすく、再乗艇しやすいカヤック用のライフジャケットをお選びいただきたいです。
具合的には輸入品の場合はUSコーストガードでタイプ3と呼ばれるモデルとなります。日本メーカーではその表示はないですが、概ね浮力7〜8kgのレギュラーフロートといわれる浮力のものがおすすめです。
そして着用方法も大切で、フロントジッパー(またはバックル)をしっかり閉じるのはもちろんですが、サイドのベルト、肩のベルトをしっかり締めて、身体のフィットさせないとカヤック用PFDをつけている意味が半減してしまうので注意が必要です。
こういった内容をしっかりまとめた入門コーナーをkayak55のメインページ内にいまいちど新たに作りたいと思いながら、忙しさからなかなか手がつけられないでいます。なんとか少しづつでもまとめていきたいです。