献本御礼(9月21日) | 人生竪堀

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TEAMナワバリングの不活発日誌

 

☆ 献本御礼 ☆
 以下の書籍を著者からお送りいただきましたので、ここに紹介させていただきます。ありがとうございました。(西股)

① 佐伯哲也編『北陸の名城を歩く・富山編』(吉川弘文館 2500円)~ 稲本香さんから。
 同シリーズの『福井編』に続いて、『富山編』も稲本さんからいただきました。富山県内の59城を掲載。大半の城は佐伯さんの精緻かつ濃密な縄張図で解説されているが、発掘調査がなされた城などは、担当調査員が解説している。稲本さんは今回もコラムを執筆。なかなかいいこと書いてるよ☆

 


② 後藤徹雄さんの写真集『城壁3』(ARD 2400円)~ 後藤さんから。
 石垣をひたすら「美しいもの」として捉えた写真集の第3弾。美しい構造物って、季節によって、天候によって、時間によって、角度によって、さまざまに表情を変えるんですよね。城はもっと「アート」として鑑賞されてよいと思う。サブタイトルには「石積の肖像・完結編」とあるけれど、ご本人はもっといろいろな石垣を見に行きたいらしい。見に行ったら、写真も撮っちゃうんじゃないの?と思うけど。

 


③ 竹井英文著『杉山城問題と戦国期東国城郭』(戎光祥出版 9000円)~ 竹井さんから。
 お値段からわかるように専門的な学術論文集。これまでの竹井さんの研究の中から、城に関する論考を集め、記述に統一をはかりながら若干の補論を加えて一冊としたもの。さまざまな媒体に掲載されていた論考がまとまったことで、竹井さんの論の全体が見通せるようになったことは大変有意義である。
 ただし、既存論考を集成した論文集なので、杉山城問題についての2022年段階での最新の見解みたいなものを期待すると、イメージが違うかもしれない。というか、専門的な論文集というのは本来そうしたものなのだが、論文集の意味や意義を履き違えたマニアが的外れな「御講評」を宣いそうで心配である。文献史料と同じで、専門的な論文は専門的な方法論が身についていないと、本当は読みとれないものなのだが、「自分は専門的な情報や用語を知っているから専門的な論文だって読める」みたいに勘違いしているマニアが少なくないように感じる。
 この論文集は、まちがいなく今後の城郭研究の基礎となるべき一冊。まあ、城郭研究なるジャンルが今後も存在し続けるならば、という但し書き付きではあるが。