私が選んだスペクトラム支援の名言(その4) | ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

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宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

「自閉症スペクトラムの子どものは、成功する方法だけを教える・・・」


 数年前、元同僚のT先生がある講演会に参加し、その日のうちに送ってくれたメール。 講師S氏への質問タイムに「今お話しいただいたことは、先生の著書にも書かれていた通り、定型発達の子どもと自閉症の子供にも共通して言えることと感じていますが、定型発達の子育てと自閉の子育ての決定的な違いについて教えていただきたい」とお聞きしたところ、答えは「定型の子には困難を乗り越えてこそ大きな達成感、喜びを得る、ということを教えたい。しかし自閉の子どもには、苦しさだけが残るから、成功する方法だけを教えたい。」        

 これを読んで私の目から鱗が落ちた!何という言葉であろう・・・私は自閉症をよく分かっているとしながら、子どもたちに頑張ってもらおう、努力すれば何とかなる、この問題は乗りきれる!等々、定型の子同様、さらなる努力を要求してきたのではないだろうか?  定型の子は確かに、日々努力の生活で、学校の勉強、塾通い、ピアノにプール等の習い事、あるいはスポーツ少年団等で、目標に向かって頑張っている。家族に支えられながら困難に立ち向かい、多くの励ましと叱責、そして失敗や挫折も経験しながら、未来を想像しながら頑張っている。     一方スペクトラムの子どもたちはどうだろう?目の前にある困難を乗り越えた先の明るい未来を、想像できるだろうか?経験したことのないことに、意欲を持って取り組めるだろうか?失敗しても次はこうすればいいと、思えるだろうか?   私の教室には小学校や中学校、高等学校になってから不登校になったり、引きこもったりした子どもたちが相談にやってくる。この若者たちの多くは、学校時代に困難を乗り切ることができず、叱責や失敗で自己肯定感をすっかりなくし、自分のもっている本当の力を出し切れずに苦しんできたのではないだろうか?     自閉症の子どもには成功する方法だけを教えるということを疑問視する人がいる。しかし私はS氏の言葉を全面的に支持する。定型に近づけようとすれば、そのリスクはあまりにも大きすぎる。身近かなことに僕はできるという達成感を感じ、成功体験をいっぱい積めば、自己効力感は高まり、僕は僕でいいんだ!という自己肯定感も持つことができるはずだ。