私が選んだスペクトラム支援の名言(その5) | ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

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宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

 ダダ家の療育、合言葉は[視覚的][具体的][肯定的]

 これはダダ母、ハルヤンネでおなじみ奥平綾子さんの著書「レイルマン 自閉症文化への道しるべ 」の一節で、私が教室の勉強会で必ずお伝えしている言葉です。まず視覚的な支援をする。つまりたくさんの声がけより具体物やカード、文字など、その子の分かるものを見せて伝える。次にいつも具体的に伝える。例えば「まだ」「もう少し」ではなく「10時まで」「3つの課題が終わるまで」と。最後は何でも肯定的に伝える。「走ってはだめ!」「立ち歩かない!」ではなく「歩きます」「座ってパズルをしましょう」と。この視覚的、具体的、肯定的の合言葉は言われてみれば、誰でもすぐに納得できる。しかし私たちの子育てでは、ほとんどが話し言葉、抽象的な言葉、否定的な言葉を使っている。「はやく はやく!」「そんなことしてはだめ!」等々。 本教室のそばには硬式野球のリトルリーグの練習場がある。そこでの練習で、時には「何やってるんだ!」「何度も同じこと言わせるな!」等厳しい叱責も飛び交う。それでも野球少年たちは、必死になって白球を追っている。これは日本中でよく見ることができる光景であろう。ダダ母の合言葉は言うに易く行うに難し。本教室では通い始めてばかりの利用者さんが「○○ちゃん、そこに登っちゃだめ!」と叱ることがあります。そんな時私は「お母さん、登っちゃだめ!を具体的、肯定的な言葉に変えましょう」と伝え、その子に合った具体的な手立てを一緒に考えます。 このように私たちの日常生活の中にすっかりしみ込んでしまった聴覚的、抽象的、否定的な指示、そして命令形、分かりづらい疑問形の数々。一方スペクトラムの子どもたちは、言葉の意味、物事の意味、あいまいなこと、他者の心が分かりづらいが分からなくて本当に苦しんでいる。だからこそ、この子らの子育て、支援に携わる私たちは、ダダ母の合言葉を肝に銘じるべきではないだろうか?。