「原則は、あなたはあなたのままでいいんだ、という育て方をしてあげる」 この言葉は精神科医佐々木正美氏が書いた「アスペルガーを生きる子どもたちへ」(日本評論社)という本の一節である。コメントとして、「重要なのは、あなたはあなたのままで素敵な人間なのだから、基本的にはそのままでいいよ、ということです。どうしてもいけないこと、こうしなければいけないことは伝えるけれども、そこを熱心に無理強いしすぎないように伝える。無理難題をを相手にぶつけようとし過ぎないで、穏やかに伝える」と書いてある。 著者と親しかった書家の故相田みつを氏も「ありのままでいいんだがな」と書いています。
私たちの多くは、小さいときからしつけを重んじ、社会的なモラルを無理強いしがち。「学校では○○が決まりだから・・・・・」「みんながやっていることだから、あなたも・・・・・」と。規則に従うこと、みんなと同じことをやることが大切なこととされ、それが集団生活の最重要課題になり、皆に従うことを要求されてしまう。すると他者に合わせることが苦手なアスペルガーの子どもたちは、わがままとみなされ、注意や批判の的となる。こうして彼らは日常の行動を何度も何度も修正され、自分が自分でなくなってしまう。それはなんと苦しいことか・・・・・。簡単に自尊感情をなくし、心の安定が崩れてしまう。 そんな時佐々木正美氏の「あなたはあなたのままでいいんだ」という言葉は身にしみる。「そうだ、僕は僕でいいんだ」と思うと、気持ちがずっと楽になる。さらに自分のありのままを他者にほめられれば、もっと自分が好きになる。このようにアスペルガーの子どもに必要なのは、頑張れば、努力すればこうなるではなくて、「僕は僕のままでいいんだ。自分のままで認められているんだ」という実感ではないでしょうか? さらに佐々木氏はこう述べています。「彼らは正直で、人に対して媚を売らない。そして優れた能力があっても傲慢にならないのです。・・・・・私はこの人たちと一緒にいる時、くつろいでいられるのです」