つれづれ 6 ハヌカとクワンザ | ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

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宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

 ちょうど3年前、私はアメリカにいた。ノースカロライナ州のローリー市にあるミルブルック高校の自閉症クラスで授業のアシストをしていた。教室では16歳から20歳までの生徒たちが学んでいた。12月のメイン課題は「ハッピー クワンザ」ということで、文字の分かる生徒はクワンザのテキストを繰り返し読み、そうでない生徒はクワンザの絵本に色を塗っている。
 クワンザはアメリカに住むアフリカ系の人たちが、遠い祖国アフリカの文化や伝統をお祝いする行事で、12月26日から1月1日まで続くもの。このテキストを使って生徒(6人のうち3人がアフリカ系)がクワンザに向けた準備、ごちそう、プレゼント、家族の絆等について学んでいる。このことを助手の先生に聞いたら、アフリカンーアメリカンの子ども達はクリスマスより楽しみにしている、と言う。
 一方、私がホームステイしていたバロン家はユダヤ系の家族で、毎週日曜日、子ども達はユダヤ教の学校に通ってユダヤ人の文化やヘブライ語を学んでいた。アメリカ人なのにクリスマスとは全く無縁で、ユダヤ人の光のお祭り”ハヌカ”の準備をしていた。そこでは12月15日頃からメノーラという燭台に1日1本ずつ8日間ロウソクを灯してお祝いし、子ども達はドレイルという独楽を回してチップをゲットするというゲームを楽しんでいた。
 当初私は、12月になるとアメリカはクリスマス一色になると思っていたが、そうではなかった。バロン家ではもちろん、通っていた高校でもさほど多くののクリスマス飾りがないのには驚いた。知ってしまえば当たり前のことだが、キリスト教の人だけクリスマスカードを送ったり、クリスマスを祝うのだ。
 このようにアメリカに住んでいるユダヤ系やアフリカ系の人たちは、それぞれハヌカやクワンザというホリデイをもっている。つまりここには、ヨーロッパ系のアメリカ人(多数派)のクリスマス、少数派のユダヤ系のハヌカ、幾分少数派のアフリカ系のクワンザが混在している。そこで、最近アメリカでは、12月のこの時期は「メリー クリスマス」とは言わず、「ハッピー ホリデイ」と言うことが多くなったと言う。多数派も少数派もその伝統的な文化を大切にし合いながら混在し、それが当たり前になっている国、アメリカ。
 私はTEACCHプログラムから「自閉症の人には自閉症の文化がある。まず私たちがその文化を理解して、自閉症の人に近づく。そして初めて自閉症の人たちが徐々に私たちの文化に近づく。」ということを学んだ。
自閉症という少数派の人たちが、アメリカに住むユダヤ系やアフリカ系の人たちのように、多数派の人たちと共存できる日を願って・・・。