ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

「梅雨空に セミの初鳴き アオバズク 夕暮れて鳴き かすかにホタル」

 これは私が住む仙台の里山の風景である。暦の上では梅雨なのに猛暑の7月である。

 事務所直ぐ近くの与兵衛沼公園の林で、ニイニイゼミが鳴き出した。彼らはセミの先鋒としてやってくる。松尾芭蕉の奥の細道に出てくる山寺での俳句「静かさや岩にしみ入る蝉の声」の蝉は、実はアブラゼミではなく、季節的にはニイニイゼミという説もあるくらいだ。ニイニイゼミに続いてはヒグラシ、アブラゼミそしてミンミンゼミがやってくる。

 夕闇に包まれると、ミミズクの仲間であるアオバズク、いつも同じ場所にやってきて、「ホッホー・ホッホー」と、その独特の鳴き声は静かな夜空に響き渡る。この声を聞くと今年もやってきてくれたと、ほっと胸をなでおろす。いつもやって来るアオバズクは沼の南西部にある場所を好んだが、いろいろな工事でその林がずいぶん伐採されてしまい、どうやら沼の中央に場所を移して巣作りをしているようだ。夜行性なので姿は一度も見たことはないが、何世代にもわたって必ず戻って鳴いてくれる。

 夕闇の小川にはポッポッポと光が見える。20年以上前にはホタル祭りをして、みんなでその乱舞を鑑賞したものだが、今はすっかりさびれてしまった。ほとんど人は訪れないが、毎年ヘイケボタルが4~5匹飛び回る。だからピカッ・ピカッと光る一匹を見つけただけでも感動する。毎年これしか飛ばないのに、どうやって世代を繋いでいるのか不思議でたまらない。

 また来年も彼らに会えるだろうか?

 

 東北、仙台、薫風が心地よい季節なのに、毎日落ち葉掃きで忙しい。なぜなら我が家の生け垣は全てサザンカ、しかも植えている木がツバキ、モッコク、カナメモチそしてカクレミノと常緑広葉樹が大半を占めている。秋のイチョウ、コナラやモミジなどの落葉樹の落葉は超ド派手で、私たちを落ち葉掃きに奔走させる。

 一方、ツバキなどの常緑広葉樹は、サクラなどの落葉樹の美しい花が終わった青葉の頃、ひっそりと新しい枝葉を伸ばすと同時に古い葉を落とし始める。秋に見られる一斉の落葉ではなく、パタ、パタと何日もかかって古い葉を落とす。その様子は実に奥ゆかしい。

 そんなわけで我が家は毎日落ち葉掃きで忙しい。新旧の葉っぱの交代で有名なのが正月飾りに使われている常緑のユズリハ。

ユズリハの古葉は3年越しに新葉と入れ替わる。新葉が出てきてから古い葉が落ちるので、まるで代を譲るかのように見えるのでユズリハと名前がついたと言われる。

 樹木の花を見てみると、落葉広葉樹にはウメ、モモ、サクラ、リンゴ、ハナミズキやシャクヤク等々人の目を引く美しく見事な花が数え切れないほど多い。これに反して常緑樹はというと、ツバキ、サザンカ、キンモクセイ、タイサンボクやキョウチクトウと、数えきることができるほど美しい花は少ない。

 落ち葉掃きをしながら、パタ、パタと散っていく常緑広葉樹のことを考えてみた。

        ブナの森に聴く

 

  私の住む東北地方には、ブナの原生林そして世界自然遺産

 で有名な白神山地がある。そのブナについてドイツのペータ

 ー・ヴォールレーベンはその著書『樹木たちの知られざる生 

 活~森林管理者の聴いた森の声』の中で「ブナの木は仲間意

 識が強く、お互いに養分を分け合う。弱った木を見捨てない」   

 「樹木には驚くべき能力と社会性がある」と言っている。今

 までの既成概念では植物の世界は競争社会で、弱い木、病気

 になった木は誰にも助けてもらえず、病虫害の攻撃で衰弱し

 枯れてしまい、その空間と光は他の木に奪い取られてしまう、

 というのが常識だった。

  しかしドイツのブナの原生林では違っていた。一本一本の

 木同士が情報伝達を行っている。それは地中の菌類(きのこ

 の仲間)が根と根の間に入り込んで、インターネットの光フ

 ァイバーのような役割を担い、細い菌糸が縦横に走り、想像

 を絶するほどの密なネットワークを築き上げている。木と木

 が菌類を通してお互いに養分を分かち合っている。

  もしブナの原生林で弱い木が次々枯れていくと、林がまば

 らになって、その空間に光や風が直接入り込み、森林特有の

 湿った冷たい空気が失われてしまう。そんな空間が所々にで

 きると、今まで元気だった木も病害虫の被害を受け、時には

 大風で倒れてしまう。

  しかし丈夫な木、病気になった木などが助け合って、いろ

 んな木が密集していれば、強風がきてもみんなで集まって風

 を避けることができる。このようにブナの森は無条件で助け

 合っている。

  ただし人間の手で植林された中央ヨーロッパの針葉樹など

 の林ではそうはいかない。人工林では地中のネットワークが

 広げられないらしい。

  私は今まで3回ほど白神山地に行き有名なマザーツリー

 (樹齢約400年)に触れてきた。今度もう一度行って、天然

 の森の声を聴いてみたい。