新年に振り返る、去年の試行錯誤たち | 勝手に☆とやまの定住コンシェルジュのBlog

新年に振り返る、去年の試行錯誤たち

写真は事務所のお正月仕様(内側から)。昨年までは掛けるタイプだったのですが、いつものCOUPさんに行ったら既に売り切れだったので、今回はちょびっと門松風。

 

 

新年からヘトヘト

 

新年明けましておめでとうございます。

元旦はゆるりと家で寝正月…するほどの蛮勇も加齢によりなくなってきたし、何しろ家から近いので、小さなSHOPの元旦営業始め、こまごまとした用事で何度も事務所へ行き来。

 

いっこの作業するたびに「ハッ」としてやりのこしたり持ってきそびれたものを思い出し、何往復もしてすでにヘトヘトの元日夕方。でも、ご近所マダムに、去年作ったかぶらずし(今日が食べごろ)を渡せたので、ホクホクしている。

 

でも、年の初めの小さなSHOPに、可愛いお客様がたくさんきてくれて嬉しかった〜。

 

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本日のお客様は、あの羊たち

 

新年早々、山と草木さんに会えるなんてめっちゃ嬉しい。一年の計は元旦にあり。ならば好きなことをしよう。と思ってきてくれたそう。なんて幸先の良い2023年なのだろう…。

 


こちら外側からみたお正月飾り。まばら鳥も例年通りみかんを装着し鏡もち気分。

 

 

いい会社アピールやめた

弊社の仕事始めは4日からですが、有給取るスタッフも多いので実質5日から。

 

数年前までは、一斉に結構長めのお休みを取って、いい会社アピールしてたんですが、一昨年からやめました。

在宅だ時短だと働き方がスタッフ毎に違う状態なので、あまり「せ〜の」で休むことに意義を感じられなくなってきたこともありますし、そもそも社内での役割や職能が違い、社外(各家庭)環境やそこでの役割も違うので、休みのときこそ働きたい人もいるということに改めて気づいたからでもあります。あとは、むやみに休みを長くしても、結局、怒涛の年度末繁忙期の稼働時間が減ってしまうということもあります。

…もちろん、大晦日や正月、お盆とか、ある程度は絶対働かない日はあってもいいと思いますが、世の中の全員が残らず、カレンダー通りに休んでいたら社会はまわりません。同じく平日だからといって必ず働かなきゃいけない訳でもありません。…いまこの瞬間も誰かが働き、誰かが休んでいる。だからこそ、弊社では、「いつも誰かが休んでいる」という状態を意図的に常態化させ、サステイナブルな会社のカタチを模索しているところです。


以前は、「いいことはなんでも取り入れる」と前のめりでいましたが、会社が新たな10年に突入した昨年からは「世の中的にいいと言われていることを、あせって導入したところでどうせ定着しない」という諦めというか割り切りが出てきました。

 

…例えば、「うちのまちには●●がないから、隣のまちを見習って作ろう!」みたいな風に始めたことって、隣のまち以上になることはなかなかないなと思います。作ったらそこで満足して終わっちゃいます。サステイナブルじゃないです。(でも、隣町の熱量を越えて取り組み続けられるなら、それはきっと自分のものになる。)

 

あれもこれもやっていたら、本当に力を割かなきゃいけないところにちゃんと力を注ぐことができません。「好き」「得意」と思っていることにいちばんの時間や手間をかけられず大した成果もあげられないくせに、周辺環境ばかり整った会社に何を頼みたいかって話です。(何も頼みたくないですよそんな会社…。主戦場にいながら真正面から戦わずのどかにお茶ばかり飲んでいい戦果が出るわけないですからね。というかそれ命の危険に晒されてるだけですわ)


 

 

 

危機感しかない

そんなわけで、昨年は、オリジナリティと存在意義を模索する一年でした。

 

コロナによって様子見や取りやめになっていたものが少しずつ再開・復活し、内川の来訪者や人の流れも増えてきたのを嬉しく感じつつも、「もと通りになりつつある」と安堵してたら死ぬぜ、という危機感に襲われる日々でした。

 

私たちより腕のいいデザイン事務所も編集プロダクションもごまんとありますし、紙の書籍や印刷物はどんどん減っていきスマホさえあれば誰でも写真加工やデザインができてしまいます。さらに誰もが自ら発信できるツールが次々に出てくるVUCA時代にあって弊社ができることって、経営者としてやるべきことって…まじでちゃんとやってかないと早晩潰れるし、今年良かったとしても来年や数年後に同じ状況かなんて誰にもわからない。

 

…無為無策で来るものを受け入れているだけでは確実に堕ちていく。コロナ前とは全く違う世界になったことを肝に銘じながら、自分にできることは何なのかを悶々と考え続け、本当に小さいことではありますが試行錯誤を繰り返してきました。

 

 

たった1時間でも、1年やればけっこう知見はたまる


一つめは「小さなSHOP」というチャレンジ。

事務所の路地側のスペースで、たった1時間だけ開く紙もののお店。最初は1坪くらいのスペースでやっていましたが、6月の11周年イベントを機に売り場を拡大。

 

 

たった1時間、それもわかりにくい路地の店。並んでいるものは必ずしもみんなが欲しいものではない(けれど紙もの好きにはグッと来る)ものたち。お客様ゼロの日もたくさんあったし、お客様がいらしても売り上げゼロの日もありました。…それでも続けられたのは、たまに運命的な出会いがあるから。

 

いちばん多いのは、内川沿いをそぞろ歩いていたら路地の看板につられてふらりと立ち寄るお客様。開放的な内川から狭い路地へ、そして古民家リノベされた店内の造りを面白がりつつ、商品も見ていかれる方々が多い。

ごく稀にInstagramを見てめがけてきてくださる紙もの好きさんもいて、もうもういらしてくださるだけで涙出そうなくらい嬉しいのです。

 

また、極短営業による心身の負担の少なさも、何とか1年間140日以上開けられた要因のひとつ。

平日・休日問わず、10〜15日/ひと月。

月初めにInstagramで営業日をお知らせしてきましたが、悪天候や急用などで臨時休業したのは、9月20日の台風直撃の日のみ。うっかり用事が入っても「1時間だけなら」とスタッフに店番を代わってもらえたのも大きかったです。

 

これは夏の「内川十楽の市」で夕方も開けた時の写真。

 

普段のSHOPはほとんどの場合私が店番をしてきましたが、POP UP SHOP などのイベント時はスタッフでシフトを作って店番をまわしてくれたりして、普段はMacにかじりついて仕事している子たちにとっても、お客様とふれあえて新たな刺激をいただく機会となりました。ふたてま舎のワークショップができたり、地域のイベントへの便乗もいくつかあって、本当に去年はたくさん、イベント設営・運営したなぁ。

 

 

リアルな商品や空間がベースであると改めて確認する

たった1時間しか営業していないお店ですが、商品やディスプレイについて、いろいろ試行錯誤を繰り返しました。ショップスペースを広げたのは前述の通りですが、せっかくいらしてくださった方に、お買い物体験もそれ以外の体験も楽しんでいただけるように、そして流石にずっと売上ゼロでは困るので、細々とでも売れる場所にするために、商品の梱包やPOP、展示方法、ライティング、そして商品そのもののことなどもいろいろ模索しました。

 

直営ですから、思いついたら試せる、というのがとても良かった。配置を変えただけで手にとってくれる人が増えるのを目の当たりにすると、いいパッケージさえデザインすれば売れるわけではないというのがよくわかります。DTPデザインを仮想の空間に並べるのと、リアル空間で実際の商品を手にとってもらうのとでは、情報量も体験の質も全く違います。

 

たくさんのデジタル技術が、リアルを拡張していくことは素晴らしいことだと思いますが、そのベースにあるのは、やはりリアルです。物理的な肉体を携えて生きている限り、主従の関係はどうしたってバーチャルじゃなくアクチュアルなほうになる。


 

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試行錯誤しつつ、基本は「あるもの」でやるディスプレイ。買ってくるだけなんてつまらない。

 

クライアントワークではなく自主的な活動だからこそ、手の動くまま、まずは衆目に晒してみる。…一個いっこはとてもたわいなく小さなものだし、始めた時は自分自身でもその拙さに赤面してしまうけれど、それでも積み重ねていけば、それっぽくなっていくなぁと思います。

 

 

SNSで恥ずかしさを乗り越える

Instagramでも凹みまくりでした。一応アカウントだけ取って、ほとんど投稿していなかったものを、SHOPの営業日告知のために少しずつ動かし始めました。イベントなどのカウントダウンもやってみると、本当に難しい。

 

世の中には素敵なインスタグラマーがわんさかいるので、それらと比べると確実に見劣りする世界観とビジュアルに愕然。「曲がりなりにもデザインしてるとか言ってる私が、こんな程度の投稿しかできないなんて…ほんと穴に入りたい…」と、ノーゲストのお店の中で一人恥ずかしく落ち込んで、鬱々とする日々もありました。…今まで「本業」としてSNS運用とかPR投稿とかバンバンやっているにも関わらず。


普段は、確固たるコンテンツや有望な商品を持つ企業・団体様のPR部分お手伝いが多いため、最初からコンテンツと方法が切り分けられています。なので、目標を決め、冷静かつしたたかに方法や手順を考えることができます。


一方、「コンテンツや商品」そのものが自分開発・発信のものであると、単なる発信方法としてのSNSだと割り切れず、「売っているもの」「この空間自体」ひいては「自分自身」が否定されたような気分になってしまい、苦しい日々を過ごしました。「そもそもこんな紙もの売って誰が喜んでくれるんだろう?…世界じゅうで私だけなのでは…」みたいな気持ちになることもたくさんありました。(そこで、商品作っている人がSNSに向き合う気持ちが身をもって知れました。プロに任せるのも大事なのだなと)

 

「いいね」やフォロワーの伸び悩みにも心を砕いていましたが、数ヶ月経つと、SNS上の反応とは違い、フォロワーじゃなくてもお店に来てくれる人が徐々に増えてきたのを実感するうちに、鬱々とした気持ちが少し晴れてきました。

 

何も衒わずに素敵にできる人もいるでしょうけど、私は少しずつ失敗し、冷や汗かきながらチューニングしていくことしかできないな〜と思います。でも、好きなことだから何とか積み重ねていけるのだ思います。(たった1年のくせに大言壮語ぎみ…)

 

 

月イチのかわら版でさらけ出す、拙い思い

そして、小さなSHOPから派生し、5月からは「ノマエ通信」というかわら版を発行し始めました(月150部、毎月10日くらい発行、手配り&町内回覧)。

 

販売するものの多いSHOPは会社の事業としてやっていますが、このかわら版は完全に趣味です。夫とコーナーを3つずつ分担し、それぞれ2〜3時間でささっと書いてささっと印刷。本業に差し支えない程度、休日にさっとできる程度でやる、という目標で、今までに6号まで、できています。

 

SHOPを開けていると、目をキラキラさせて内川に住みたいとか家を探してるっていう方が、ちらほらいらっしゃることに気づきました。

 

普段から内川にはいますが、平日の事務所は、基本アポイントなしで世間話をしにきていただけるような場所も時間も用意していませんし、何より、私たちは不動産屋さんでもありません。
 

最初は、「内川の良さに共感してくれる人が増えてきた、嬉しい!」と思っていたのですが、毎月着々とそういう方が増えていくので、あっと言う間に心と頭のキャパシティーがオーバーしてしまいました。…本気で家を探している方は不動産屋さんや空き家バンクに直接連絡されますが、その「ちょっと手前」の方が多い印象。そういう方々とゆるく繋がり、なんとなく地域の人と情報を共有しておけば、「空き家になる」の前に、今の家主さんにも未来の家主さんにも、選択肢や可能性が広がるのではないかと考えてできたのが「ノマエ通信」でした。

 

コーナーは以下の通り。

・ココだけのコレ(内川の景観やまちなみの特徴・長所などをつらつら語る/夫担当)

・空き家まちびと(私たちが相談を受けた空き家取得希望者をふんわり紹介/私担当)

・It's not the time yet.(実家の空き家問題や身の上についてダラダラ語る/私担当)

・空き家リノベお財布事情(実際のリノベ案件の経緯や金額などを紹介/私担当)

・紙一重(知っておけばちょっとの違いで雲泥の差な家屋のメンテナンス話/夫担当)

・イベント情報(内川の景観や空き家、まちづくりに関連するイベント情報/私担当)

 

…反響は今のところ大してありません(笑)が、

何となく空き家を探していた方(=空き家まちびとNo.10)が、本格的に空き家探しを始め、ちょうど良く家主さんとマッチングし、空き家取得にまでこぎつける…という進展がこの約半年間のうちにありました。

 

5号まで並べたところ。6号はリソで金で刷った。

 

 

路地体験の誘発装置であるということに気づく

そして、小さなSHOPをやっていてもう一つ気づいたことがあります。

 

SHOPを始めたばかりの頃は、「紙もの」を売っているお店で、お買い物体験を提供していると思っていました。

でも、いろんなお客様とお話したり、店内プラスαをご案内するうちに、これは「路地体験なのだ!」と気づきます。

 

広々とした空と川面が開放的な内川沿いに垂直に交わる細い路地。

ちょっと薄暗い路地の先には、町並みや海の気配があって、カクンと垂直に曲がってみたくなりませんか?(私はなります)…見知らぬ場所で、何の用事も事前情報もなかったら、心惹かれたまま何となく通りすぎてしまうこともあるでしょう。

 

でも、看板が出ていたら、ちょっとのぞいてみようかな?ってなる。

このSHOPは、路地に迷い込む体験の誘発装置でもあります。

 

で、中に入ると、昔の漁師さんのお宅の名残を感じつつ、やたらカラフルなものが溢れた空間があるので、光⇨闇⇨光という、何ともドラマチックな体験ができる…ということに、お店やって10か月くらい経って気づきました。

 

私は、路地の先に見える内川が大好きです。路地の先に川があると、どうしてこんなにワクワクするんだろう…ってずっと思っていたのですが、空間の広い狭い&光と闇のコントラストがすごくあって、フラットじゃないんです。…だから密かに興奮するのではないか、と思っています。

 

 

 

コロナでだいぶ効率化が進み、非同期のテキストコミュニケーションにめちゃめちゃ慣れてきましたけれど、人間の体と脳ミソはまだたった一つしかないので、やっぱり物質、実態、実存をとことん愛でて行きたいなと思った昨年でした。

 

…じゃ、今年はどういう年にしたいかっていうと、その時思うことを一生懸命やるだけです。予想は大概外れるし、1年間の目標なんてだいたい手段にしかならないので。

 

心おだやかに、体と頭はたくさん動かして、人とのふれあいを増やしたい。

という抽象的なことくらいしか言えないですが、ひとまず、個人としての姿勢はそんな感じです。

 

前回の忘年会に引き続き大雪となった今回の忘年会や反省会の振り返りも近日まとめたいと思います。