経済とは生産である。生産されたモノ、サービスがあるから、それを取引、売買するために、お金が必要になる。
そして、科学、技術は絶え間なく進歩し続ける。
産業は、ますます効率を上げ、発展、成長し、生産能力はいっそう高まり続ける。

生産能力が高まり、生産量が増大すれば、当然、貨幣量も増えなければならない。
生産量は増えるのに、貨幣量が増えなければ、経済は回らなくなり、停滞する。
なぜなら、貨幣は、モノ、サービスの取引、売買を円滑に行えるようにするために存在するものであるからだ。

ところで、現在の日本は、非常に経済が停滞し、逼迫し、その上、デフレの状態に陥ってしまっている。
どんな経済政策を行っても、一向に良くなる気配がない。

われわれは、もうそろそろ気づくべきだろう。日本は貨幣の発行の仕方を、間違えているから、一向に経済が良くならないと言うことに。
中央銀行である日本銀行の、お金の発行の仕方が、間違っているのだ。

例えば、生産能力が2倍に高まり、モノ、サービスの生産量が、2倍になったとする。そうすると、貨幣量も少なくとも2倍以上に増やさなければ、取引、売買は円滑に行われない。

そこで、当然、通貨発行当局は、新たに貨幣を発行して、貨幣量を2倍に増やすだろう。
しかし、この時、通貨発行当局は、どんな種類のお金を発行したのかと言う点が、非常に重要になってくる。
どんな種類のお金?  一体、お金に種類があるのかと、人々は思うだろう。

しかし、お金には、明確に種類がある。
一つには、通貨発行益のあるお金と、もう一つには、通貨発行益のないお金と、2種類あるのだ。

通貨発行益とは、例えば1万円札の場合、このお札を1枚製造するのにかかる費用は、およそ16円なので、1万円札を製造して、これを、そのまま世の中で使用すると、9984円の利益が得られる。
この9984円の利益分を、通貨発行益と言う。

通貨発行益を、通貨発行当局は、当然得ているだろうと、多くの人々は思い込んでいるようだが、それは大間違いだ。
日本の通貨発行当局である日本銀行は、実に不思議なことであるが、この通貨発行益を得ることなく、お金を発行しているのだ。

なぜそうなるのか?
日本銀行法第52条に「日本銀行は貸借対照表を作成し、これを財務大臣に提出し、その承認を受けなければならない(要約)」とある。
すなわち、日銀は、通貨(日本銀行券)を発行する際には、貸借対照表(バランスシート)の制約を受けることになるのだ。

バランスシートは、表の左側に、資産を記入し、右側に、負債と純資産を記入することになっている。
そこで、日銀が、実際に日銀券を発行する場合、バランスシートの右側に、日銀券いくら、と記入しなければならないが、それと同時に、必ず、バランスシートの左側に、日銀券の発行額と同額の資産を、記入しなければならない。

資産とは、世の中に出回る、手形や債券のことである。
わかりやすく、日銀のお金の発行の仕方を説明すると、手形や債権などを買い取らなければ、日銀は、お金を発行することができない、と言うことになるのだ。

これでは、通貨発行益は生まれようがない。
通貨発行益が生まれるためには、あくまで、ただお札を印刷して、これを世の中に対して使用するから生まれるのだ。
資産を買い取って、お金を発行するのでは、これは通常の商取引と同じことであって、資産とお金を、同レベルでやりとりしているだけだ。

そもそも、バランスシートは、一般の民間企業が、財務状態を明らかにするために用いる帳簿である。一国の通貨発行当局が、このような民間企業並みの地位に置かれていては、通貨発行益の生まれようがない。

日銀は、株式会社として設立されたので、バランスシートの縛りを受けるのだ。
政府は、通貨の発行を、株式会社(民間企業)の日銀に任せて(下請けさせて)しまうから、おかしなことになる。
通貨は、国家権力という強力な権限によって、発行すべきものだ。
すなわち、ただ印刷機を回して、お札を刷り、これをそのまま世の中に対して、使用しなければならない。
日本国においては、国家権力を持つものは、政府であり、政府が、直接通貨を発行しなければならない(政府紙弊)。

例えば、年間の予算を100兆円とすると、そのうちの50兆円を税収で賄い、残りの50兆円は、政府紙幣の発行によって賄うのだ。
そうすれば、国債を発行する必要がないので、国の借金など生まれようがない。

最初の「経済とは生産である」に立ち返って考えてみよう。
生産能力が高まったので、生産されるモノ、サービスが増えたのだ。モノ、サービスが増えたのだから、それを売買するお金を増やすのである。
その時、増やすお金の種類は、通貨発行益のあるお金でなければならない。なぜなら、モノ、
サービスと言う価値のあるものが増えたのだから、それに合わせて、お金の種類も価値のあるお金、すなわち、通貨発行益のあるお金を、増やさなければならない。
そうでなければ、モノとお金との調和が取れない。
価値のあるモノ、サービスが増えたのに、価値のないお金、すなわち、通貨発行益のないお金を増やしては、全く調和が取れない。
日銀の発行するお金では、調和が取れない。

さらに、次のことが言える。
日銀は、資産を買い取らなければ、お金を発行することができないが、民間が出す手形や債権は、少額のものが多いので、これを、いちいち買い取っていては、手続きが極めて煩雑になる。
そこで、勢いロットの大きい国債を買い取ることになるのだが、これは結局、日銀はお金を発行するために、国に「形だけの借金」をしてもらうことになってしまうのだ。
政府が直接、政府紙幣を発行すれば、国の借金など生まれるはずがないのだが、下請けの通貨発行機関が、お金を発行するので、名ばかりの「国の借金」が生まれるのである。