日本が採用している通貨発行制度は、「管理通貨制度」です。この制度には、少し複雑な仕組みがあるので、気をつけなければなりません。
通貨(円)を発行するのは日本銀行です。
確かに、お札には「日本銀行券」と印刷されているので間違いありません。
日本銀行は、このお札をどのような方法によって、発行しているのかが、問題なのです。
日銀は、世の中に対して、直接お札を発行しているのではありません。
それもそのはずで、日銀が直接人々にお金を配っているところを、見た人はいないでしょう。
日銀は、民間銀行にお札を送り込むだけで、それから先は何もしません。
日銀は、民間銀行から金融資産(手形や債券など)を買い取り、その支払いとして、民間銀行にお札を渡します。
これが日銀による「通貨発行」です。これで、日銀による通貨発行は終わりです。
後は、民間銀行がそのお札を、どれだけ企業や個人に貸し出すかによって、お金は世の中に出ていくのです。
したがって、実際に通貨を発行しているのは、日銀ではなく、民間銀行と言うことになります。
これが管理通貨制度の変則的なところであり、人々が気づいていない点でもあります。
「誰かが銀行からお金を借りなければ、お金は世の中に出ていかない。銀行からお金を借りる人が少なければ、世の中に出回る、お金の量が不足して、経済がうまく回らなくなってしまう。」
これが管理通貨制度の持つ欠陥とでも言うべき点です。
経済は成長するのが当たり前です。なぜなら、科学、技術は絶えず進歩発展するので、国全体の生産能力は常に向上するからです。
そうすると、生産能力の向上に合わせて、貨幣量(マネーストック)も増えなければ、生産(供給)と需要のバランスが取れません。
そうであるなら、管理通貨制度のような不確かな通貨発行方式で、貨幣量をうまくコントロールすることができるでしょうか?
過去にさかのぼって、1967年に約30兆円であったマネーストック(GDPは46兆円)は、2024年には約1250兆円になっています。
驚いたことに、57年間で1200兆円以上も貨幣量は増えているのです。
そして、この貨幣量の増加があるからこそ、GDP 500兆円以上の経済成長も達成できたのです。もし、貨幣量が30兆円のままなら、GDPも46兆円のままだったでしょう。
それほど、貨幣量の増加は、経済成長にとって、重要な要素です。
その貨幣量の増加を、政府は民間銀行に任せているのです。なぜなら、管理通貨制度だからです。
ところで、1200兆円も、企業や個人が銀行から、お金を借りているのでしょうか?
いえいえ、他にも借りている者がいるのです。
それも、とてつもない大口の借り手がいます。それは、政府です。
政府が国債を発行すると、通常その約半分を銀行が買います。そうすると、政府は銀行からお金を借りたのと同じことになります。
国債発行残高は約1200兆円で、その半分は600兆円です。
政府はこれだけ貨幣量(マネーストック)増加に貢献しているのです。
後の600兆円余りを、企業、個人が借りているので、合わせて1250兆円もの、現在のマネーストックが成り立っているのです。
そして、GDP 570兆円も成り立っているのです。
以上から、結論として導き出されるのは、「政府の国債発行は、通貨の発行と同等である」と言うことです。
したがって、国債を国の借金と考えてはいけません。これはとんでもない勘違いであり、大間違いです。
すべて管理通貨制度のおかしな仕組みから生み出されたものです。
管理通貨制度は1930年代に採用されたものです。昭和初期(戦前)です。当時の経済規模は、現在とは比べ物にならないほど虚弱だったのです。
したがって、貨幣量もそんなに増える必要がなかったので、管理通貨制度でも充分国の経済は成り立ったのです。
このような古臭い、現代に合わない制度をいまだに使用しているから、おかしなことになるのです。
