最近はAI (人工知能)に関する意見や記事を頻繁に見聞きするようになりました。 AIの進化によって、人類は夢のように便利で豊かな暮らしを、送ることができるようになるでしょう。
しかし、一方で人間にとって不都合なことも起きてくるようです。
その最たるものが、人間の仕事の多くが、AIに奪われてしまう可能性が大きいと言うことです。
 AIが人間の代わりに働いてくれるのは、とても良いことで、人間は遊んで暮らせるようになりそうですが、しかし、遊んでいては人間はお金を稼ぐことができなくなります。
誰も給料を払ってくれなくなると言う厳しい現実があります。

そこで、AIに詳しい人が雑誌などに記事を寄せています。「AIが人間の仕事を奪う時代が目の前に迫っているが、我々はどうすれば良いのか?それは、もちろん、 AIに仕事を奪われてしまうような職種には、つかないようにすることだ。」と彼らは言います。
そして、その奪われてしまうような職種がどのようなものであるかについて、微に入り細に入り教示するのであるが、なるほど、それはそうでしょう。
AIに奪われない仕事に就くことが、これからの社会で生き残る上で、最も重要な選択になるでしょう。そして、他の人たちが 多数、AIに仕事を奪われて失業者になり、社会の敗者になっても、自分だけは勝者となって悠々自適の人生を送ることができると言うことです。

しかし、本当にこれで良いのでしょうか?多数の人間が、失業者になるような社会を作ってしまって良いのでしょうか?
それはどんな社会なのでしょうか? もちろん治安は悪くなるでしょうが、それだけではありません。所得のない人間が増えれば、国全体の購買力(需要)はそれだけ低下し、それに合わせて生産も縮小することになるでしょう。
生産が縮小すると言う事は、GDPが低下すると言うことです。現在よりも、どんどんGDPが低下していく社会、すなわち、どんどん貧しくなっていく社会になると言うことです。AIの出現によって。
このような社会で、仕事にあぶれることを免れた人間、すなわち数少ない勝者は、本当に勝者と言えるのでしょうか?
この人たちの所得は、GDPが増加する豊かな国に住む人間の所得より、確実にはるかに少ないのが当たり前です。
なぜなら、国全体が貧しくなるのだから、たとえ勝者であっても、少ない所得しか稼げません。それよりも、周りの人間が多数、貧困にあえいでいるのを見て、楽しい気持ちになれるでしょうか? 

さて、科学、技術が進歩すれば、生産能力が高まり、われわれは豊かな生活を送れるようになると言うのは間違いで、逆に貧しくなると言うことを知らなければなりません。
その理由は単純明快で、人間の働く場がなくなり、収入を得る道が絶たれるからです。機械、ロボット、コンピューター、AIが人間の仕事を奪ってしまうからです。
日本は、1980年代は1億総中流と言われ、誰もが仕事に就くことができ、格差もあまりない、理想的な豊かな社会を築きあげた時代がありました。この頃はまだ、コンピューターもロボットも、それほど性能が良くなかったので、人間の仕事が奪われる事はなかったからです。

それでは、この理想の時代に戻るために、いっそのことコンピューターやロボットを破壊してしまえば良いのでしょうか?
いえいえ、そんなことをする必要はありません。我々には、政府による「マクロ経済政策」と言う強力な解決方法があるのですから。
強力な権限を持つ政府は、貨幣を発行することができます。この権限を使って、ロボットやAIによる高い生産能力に比例する購買力(需要)を国民に与えるのです。政府が貨幣を発行することによって、国民に所得を与えるのです。
貨幣の発行方法は、国債の発行でも良いし(MMT) 
あるいは政府紙幣の発行でも良いのです。
そして、高い生産能力(供給力)とバランスのとれた所得(需要力)を国民に与えるのであれば、決してインフレになる事はありません。

しかし、ここで反論がわき起こるでしょう。そんなふうに政府が国民にお金を配ってしまうと、いずれ誰も働かなくなるのではないかと。
いえ、まだ多数の失業者が出ていない、今のうちなら間に合います。
例えば、18歳以上の国民全員に、毎月5万円ないし6万円の給付を行うと言う方法をとるのです。そうすると、この程度の金額の給付だけでは生活するすることは難しいので、ほとんどの人は仕事をしないわけにはいかないからです。
しかし人々は、月給に5万円ないし6万円が加えられると、かなりの余裕が生まれるので、国全体の消費(需要)は相当増加することになります。
あるいは、政府が国民にボーナスを支給すると言う方法でも良いでしょう。 1回30万円程度のボーナスを、年2回支給するのです。そうすると、やはり消費は相当上向くでしょうが、この程度の金額では、遊んで暮らすことはできないので、やはり多くの人々は仕事を続けるでしょう。

科学、技術の進歩はとどまることがありません。近い将来、スーパーコンピューターの何万倍も計算速度の速い「量子コンピューター」なるものも完成するようです。
政府は、このような凄まじい時代の変化を、ぼんやり眺めていてはいけません。緊縮財政だの、消費税増税だのと、前世紀的な時代錯誤も甚だしい政策を、いち早く捨て去り、新しい時代の新しい「真のマクロ経済政策」を樹立すべき時が、今到来しているのです。

以上は、コロナの蔓延がなくても、やらなければならない政策です。ましてや、コロナがある以上、より一層真剣にスピードを上げて、実行しなければならないのです。