日本は戦後急激に経済が成長し、1955年から1997年までの42年間で、GDPが約60倍に増加しました。

これは凄まじいほどの成長のスピードであって、国民の生活は、1年ごとに目に見えるほど豊かになりました。

 1990年前後には、1億総中流と言われ、貧困は消滅し、犯罪も少なく、あたかも理想の国家が実現したかのような様相がありました。

ところが、実に不思議なことに、この素晴らしい経済の発展、成長が、1997年に至ってピタリと止まり、以後GDPは減少、もしくは横ばいが続き、そのまま現在になっても回復の兆しも見えません。

政治は、何らかの対策をとってはいますが、効果は全然現れないし、また経済学と言う学問は、この不思議な経済現象に対して、何の説明も解決策も示すことができません。

したがって、日本国は徐々に、そして確実に衰退していきつつあります。


しかし、1997年まで確実に右肩上がりに成長してきた日本経済が、急に成長がストップしてしまったのは、あまりに奇妙であり、納得のいかないことではないでしょうか? 

それに対して、いや成長が止まってしまったのは、それなりの理由があるからで、不思議なことでも何でもない、と考える人たちもかなり多いようです。

そこで、多くの人々が落ち入る3つの誤った考え方を指摘して、その誤りを正してみたいと思います。


 ① GDP成長が止まってしまった原因は、国全体の生産性の向上が止まってしまったからだ、と考えるかもしれませんが、これは間違いです。

1,997年まで GDPが伸びたのは、生産能力が向上したからです。これは間違いないでしょう。しかし1997年以降GDP成長が止まったのは、生産能力の向上が止まったからではありません。

そんな事はあり得ません。科学、技術は絶えず進歩するからであり、進歩が急に止まることなどありえないからです。むしろ、科学、技術の進歩はこの20年間でより一層スピードを上げていると思われます。

スマートフォン1つをとってみてもわかります。パソコンと同レベルのコンピューターが、手のひらに乗るほどに小型化し、およそ10年も経たずに日本中に普及しました。

それどころか、まもなくAI (人工知能)が、あらゆる生産現場において活用されるようになり、生産能力は飛躍的に高まりつつあります。


②最近の20~30年で、中国、韓国、東南アジアが急成長し工業化したことによって、日本の製造業が敗退してしまった。

あるいは、多数の日本企業が海外へ進出し、工場移転したことにより、日本国内の産業が空洞化したため、必然的にGDP成長が止まってしまったと考える向きもありますが、これも間違いです。

それぞれの国が発展し、工業化してモノを作り、それを輸出するようになるのは自然の成り行きです。これを止めることはできません。

と言うより、日本だけでなく他の国々も工業化してモノを作り、お互いに輸出して交換し合うことによって、世界はよりいっそう豊かになることができるのです。

なぜなら、それだけ多数の国で分業してモノを作れば、1国ですべてのモノを作るより、はるかに効率が良くなるからです。だから、他の国々が成長し工業化するのは、むしろ自国の利益になるのです。

この場合、経常収支が極端な赤字であれば、それは他国からモノを買うばかりで、自国から輸出をしていない証拠なので問題がありますが、日本は毎年経常収支が黒字なので何ら問題はありません。


 ③少子高齢化、および人口減少が進みつつあるので、当然労働人口が減るから生産力が低下するのは仕方のないことだと考えるかもしれませんが、これも間違いです。

労働者の数が減っても、現実には機械、ロボット、コンピューターなどが急速に進歩しており、人間の労働を補い、かつ人間の労働以上の生産力を発揮するので、労働人口の減少は何ら問題ありません。

むしろ、労働者の減少より、はるかにこれら機械、ロボット、AIなどの進歩の方が大きいので、生産能力はより一層向上しているのです。

生産能力とは、人間の労働+生産設備(機械、ロボット)によって決まるのです。労働者の数だけで決まるのではありません。


それでは、いったいどこに問題があるのでしょうか? 

生産能力は、1997年以降も向上し続けているのに、なぜGDP成長は停滞しているのでしょう。

それは、労働者の賃金が1997年以降、下がり続けているからです。賃金が下がれば、国民全体の所得が低下することになります。国民の所得の合計額が減少すれば、それだけ国全体の購買力(需要、消費)が減ってしまうので、当然GDPは低下します。

なぜなら、供給に対して需要が少なければ、供給(生産)する側が生産を縮小するしかなくなるからです。

さらに、供給 > 需要はデフレと言う経済現象を生み出します。そうであるなら、政府は何をしなければならないでしょうか? 

供給=需要の状態を作り出せば良いのです。すなわち、政府は意図的に国内の需要を高めるのです。

その最も手っ取り早い方法は、財政出動です。そして、その財源は国債発行です。まさにMMT の手法を用いるのです。

これに対して、国債の発行は財政赤字が巨額になるので、よくないと考えるかもしれませんが、供給力に対して明らかに不足している需要力を高めるのであるから、何の問題もありません。

財政赤字は単なる数字に過ぎないのであって、これを気にしていてはいけません。単なる数字よりも、現実の需要を高める方を選択すべきです。

そうして、今まで停滞していたGDPが成長して大きくなれば、 GDPに対する財政赤字の比率は、相対的に小さくなるのです。

他の先進国は、すべてこの方法で経済成長しているのですよ。これをやらないのは日本だけです。


さらに、消費税は需要(消費)を低下させるので、これは撤廃しなければなりません。高額な社会保険料も下げ、年金等の支給額を増やし、医療負担も下げるべきです。

要するに、国全体の需要を高めるために、あらゆる手段を尽くすのです。

NMTが主張するように、財政の赤字は、ただ単に数字にマイナスがついているだけの、現実には何の影響力もない、意味のないものに過ぎないのです。