国債とは、国(政府)の借金証書のことです。要するに国(政府)は、国債を発行してこれを買ってもらうのですが、買ってもらった相手に借金をしたことになるのです。
それで、国(政府)は国債の返済期限が来ると、借りたお金を返さなければならないのですが、とても不思議なことに、国債を買った者は政府に対して、だれもお金を返してくれとは言わないのです。
それはおかしいと思うでしょうが、これは本当なのです。
国債は主に誰が買っているかと言うと、銀行、保険会社、証券会社、公的年金機関、日銀であり、その他一般企業、個人、外人なのですが、この者たちは、政府に向かって返済してくれとは全然言わないのです。
何故かと言うと、国債には利子がつくからです。現金は持っていても利子がつきません。だから、国債を返済してもらって現金に変わると、かえって損になるからです。
銀行や保険会社などは、現金を持っていても何にもなりません。現金を何かの金融資産に変えて資金運用をしなければならないのです。
そういう点では、国債は、現在アベノミクスのせいで利率はかなり低いですが、それでも国家が発行する債券ですから、極めて信用度の高い、安全な資産なので、銀行、保険会社はこれを持ちたがるのです。
手持ちの国債を現金に変えたい場合は、「国債市場」と言う国債を売買する市場があるので、そこに持ち込めば簡単に現金に変えることができるので、何の問題もありません。
ちょうど「株式市場」と似たものと考えれば良いでしょう。国債は買いたがっている者が他にたくさんいるので、このような市場が成り立つのです。
したがって、発行者である政府に返済してもらう必要がないのです。このように、誰も返済してくれとは言わないので、発行した国債(国債残高)は、世の中に溜まりに溜まって、一千兆円以上になってしまったのです。
そして、国債は立派な金融資産として売買され、流通しているのです。
ところで、よくよく考えてみると、誰も返済してくれと言わない借金証書は、本当に借金証書と言えるのでしょうか?
借金と言うものは、相手が返してくれと言うから借金になるのであって、返してくれと言わない借金は借金ではないでしょう。何しろ返さなくて良いのですから。
それにしても、どうしてこのようなことが起きるのでしょうか?
それはもちろん、国債は国(政府)が発行する借金証書だからです。あなたが出した借金証書とは全然違うのです。あなたや、あなたの隣のおっさんが出した借金証書は、世の中に流通する金融資産には到底なりません。だから、あなたや、隣のおっさんの借金は必ず返さなければならないのです。
ここで、ある事実が明瞭になるのです。
すなわち、国家と言う絶大な権限と信用のある機関が出す借金証書は、簡単に金融資産に変化すると言うことです。
その背景にあるものは、日本経済全体において、金融資産(あるいは貨幣)が圧倒的に不足している現実があると言うことです。
モノ、サービスの生産力に対して、それを購入するのに必要な貨幣量(国民の所得)が不足しているからです。
表現を変えると、生産(供給)に対して需要(消費)が不足している状態にあると言えるのです。「日本の市場」がそのように判断しているのです。日本経済全体が貨幣(国民の所得)の不足、そして需要の不足を強く訴えているのです。
経済学者や財務大臣、総理大臣がどう判断しているかは全然問題にならないのです。だから、最も権威のある借金証書が、お金の代わりに変化するのです。
そして、この借金証書(国債)は、まだまだ不足しているので、日本経済はデフレから脱却できないのです。
我々は、虚心坦懐に「市場」の声に耳を傾けようではないですか。以上はMMT の正しさを裏付けるものでもあります。
ここで強い反論がわき起こるでしょう。
「何を言うか、貨幣は中央銀行である日銀が常に適切な量を発行しているのだから何の問題もないではないか」
なるほど、誰もがそう思うでしょう。
しかし、日銀はお札(日銀券)を刷って、それをそのまま世の中に発行しているのではありません。そんな事は日銀にはできないのです。日銀は何らかの金融資産を買い取ることによって、それと同額の日銀券を発行することができるのです。
なんらかの金融資産、と言うより買い取るのに最もふさわしい金融資産は、もちろん国債です。日銀は、世の中に出回る国債を買いとっては、日銀券を発行しているのです。(これを買いオペレーションと言う)
言い換えれば、日銀は国債がなければ、日銀券
を発行することができないのです。すなわち、日銀は政府に国債を発行してもらわなければ、貨幣を発行することができないのです。
さらにややこしいことに、日銀は国債を買い取って日銀券を発行しますが、この日銀券は世の中に直接送り込むことができないのです。
ではどこに行くのかと言うと、金融機関が日銀に持つ当座預金口座にしか送り込むことができないのです。
これから先は、少しややこしくなるので、次回のブログに譲ります。