前回のブログを引き継いで、管理通貨制度について、もう少し説明する。

旧日本銀行法第32条 「日本銀行は銀行券発行高に対し同額の保証を保有することを要す」とある。

保証とは、手形や債券などの金融資産のことで、日銀はこれを保有する(買い取る)ことによって、それと同額の銀行券(日銀券)を発行することができると言うことである。

次に、新しい日本銀行法第52条には「日本銀行は貸借対照表(バランスシート)及び損益計算書を作成し、これを財務大臣に提出して、その承認を受けなければならない(要約)」とある。

バランスシートを作成する以上、銀行券発行額と同額の資産を必ず買い取らなければならないことになる。したがって、これは旧日本銀行法32条と同じ内容になる。

さて、新、旧の日本銀行法の意図するものは何であるのか?

日本銀行がお札(日本銀行券)を発行するためには、必ず何らかの金融資産を買い取らなければだめですよ、と言うことである。

すなわち、何も買い取らずに日銀券を発行することはできない。お札を、ただ印刷機で刷って、それをそのまま世の中に送り込むことはできないと言うことである。


このように「日本銀行法」と言う法律に規定されているので、日銀はお札を発行するためには、必ず何かの金融資産(そのほとんどは国債)を買い取らなければならない。

しかし、そのためには買い取るべき国債が世の中に出回っていなければならない。そしてそのためには、政府が国債を発行しなければならない。このような段取りになるのだ。

わが国における、通貨(日銀券)発行の手順をわかりやすく表すと、

[政府による国債の発行]+[日銀による国債の買取] → [日銀券の発行]と言うことになるのである。

決して次のような手順ではない。

[日銀による日銀券の印刷] → [日銀による日銀券の発行]

以上の事は、法律によって定められているのだ。

だから政府は、通貨(日銀券)を発行するために国債を発行するのだ。決して借金をするために国債を発行するのではない。


日本は戦後、急速に経済成長したので、その成長に合わせて世の中に出回るお金の量(マネーストック)をどんどん増やさなければならなかった。

日銀はお金を増やすために、どんどん金融資産を買い取らなければならなかったが、民間が出す手形や債券を買っていては、少額すぎてとても追いつかない。そこで政府が大口の債権(国債)を発行し、日銀がそれを買い取って、ようやく、どんどんマネーストックを増やすことができたのだ。その結果、滞りなく経済成長を達成することができた。

したがって、国債はお金と同じものであって、借金ではない。名前が国の借金となっているだけで、実質は違うのだ。我々は名前に騙されてはいけない。

MMT が主張するように、国債発行残高はいくら通貨を発行したかの記録でしかない。


我々は、現在の貨幣発行制度が一体どういう仕組みになっているかを、まず知らなければならない。これを知らずに「国債は国の借金だ。この借金は増税によって国民が返済しなければならない。」などと考えるのは、とても愚かなことだ。