今回の参院選で、立憲民主党ほか、いくつかの政党が最低賃金を1500円に引き上げる公約をかけているが、これはとんでもないマチガイで、これが実現すると、日本経済は壊滅状態になる。
そもそも、コロナや、それに続くひどい円安で、経営の苦しい中小零細企業は、最低賃金が1500円になれば、たちまち経営が悪化して、廃業、倒産が続出するだろう。
あるいは、多くの企業が人件費圧縮のため、人員整理に突き進むだろうし、当然失業者が激増することになる。
先ごろ、韓国が最低賃金を大幅に引き上げたことにより、失業者が溢れ、大不況になったのだが、、その二の舞になる事は間違いない。なぜ隣国の失敗に学ばないのか?
さて、確かにこの25年間、日本は平均賃金が下がり続けている。そしてGDPは低迷したままだ。これは他の先進国はいずれも賃金が上昇し、さらにGDPもかなり増大しているのに比べ、異常なことであって、政治に携わる者にとっては忸怩たるものがあるだろう。
日本経済の長年の不況とデフレ状態は、明らかに大幅な需給ギャップが存在することに原因がある。すなわち、供給に対して需要が小さすぎるのだ。
生産力は高いが、消費力が弱いのである。その消費を生み出すのは、まさに日本全体の労働者の賃金の合計額だが、これが増えなければ、受給ギャップは永久に解消しない。
ところが、当たり前の事だが、賃金を支払う側すなわち企業側は、自発的に賃金を上げるはずは無い。企業は、自己の利益を最優先に考えるからだ。
そこで、政治に携わるものは、手っ取り早く法律を制定することによって、賃金を上げようとする。ところが、先にも述べたように、これをやってしまうと、日本はより一層悪くなるしかない。さて、一体どうすれば良いのか?
世の中をよくよく観察してみることだ。この25年間、日本全体の生産力はどのようになったか? 上昇したのか、それとも停滞しているのか?
明らかに生産力は上昇している。それも、ものすごい勢いで。科学はとどまることなく進歩し、技術革新は加速度的に進む。
生産現場においては、これらの技術革新はいち早く取り入れられ、機械、コンピューター、ロボット、AIが生産力を著しく向上させている。
しかし、よく考えてみて欲しいのは、これらの生産能力の向上が、そのまま社会の豊かさには、つながっていないと言うことだ。
なぜなら、機械、ロボット、コンピューターが発達しすぎたために、人間の労働は次第に不要になってきたからだ。もしくは、人間は機械、ロボットの補助的作業をこなす程度になってしまったからだ。
補助的労働しかできない人間に、企業は高い賃金を支払うはずはない。また、人間の労働自体がそもそも不要になってしまえば、ここに労働の供給過剰が起きているのだから、供給と需要のバランスから、賃金は上がるはずは無い。むしろ、下がるのが当たり前だ。
「日本維新の会」は、生産力が上がらないから、賃金も上がらないとする新自由主義的考え方を、いまだに持っているが、これは大間違いで事実はその間反対だ。
また、少子高齢化によって労働人口が減っているから、「人手不足」「労働力不足」と考えるのも大間違いだ。
確かに過酷な労働条件の職種においては、人手不足かもしれないが、それは全体の中のごく一部に過ぎない。
さらに、有効求人倍率が1以上あるとする公的発表も、そのまま信用してはいけない。
さて、我々は科学、技術の進歩を社会の豊かさに結びつけることができないと言う、とても愚かな道を突き進んでいることに、もういい加減気づかなければならない。
日本において、賃金が下がり続け、そのため経済成長が停滞してしまっているのは、科学、技術が進歩したために、逆に社会はどんどん貧しくなっていくと言う、社会構造上の現実があるからだ。これをそのまま放っておいてはいけない。
では、どうすれば良いのか?
人間の労働が不要になる、つまり人間の労働の供給が多くて、需要が少ないから賃金が下がるのであれば、これを逆にすれば良い。
機械、コンピューター、ロボットにはできない、人間にしかできないような仕事を増やすのだ。飲食店や観光地の宿泊施設、介護、リハビリ、演芸、コンサート、スポーツ、趣味のインストラクターなどの職業を活性化し、これらの求人を大幅に増やすのである。
そのためには、人々にこれらの遊興に費やすお金を、しっかり持ってもらわなければならない。お金がなければ、飲食や観光、コンサートなどに行くことができない。
そのお金は、政府が国民全員に配れば良い。政府は国債を発行して財源を作り、給付金ないしボーナスの形で配れば良いのである。
このようなことをしても、何の問題も起きない。どころか、機械、ロボットにはできない、人間にしかできない仕事が大幅に増えることによって、大いに人間の労働に対する需要が増え、自然に、かつ必然的に賃金は上がっていくのです。
こうして、科学、技術が進歩したことによって、人間の労働が機械、ロボットに奪われ、それによって賃金が下がり続け、経済成長は止まってしまい、貧しくなる一方の日本は、一転して再び豊かになることができるのです。
法律で最低賃金を上げる方法が、だめな理由は簡単で、これでは今の日本全体のお金の量を増やすことができないからだ。なぜなら、企業から労働者へお金が移動するだけだから。
日本国民全員の所得を増やさなければ、日本は豊かにはなれない。唯一、お金を増やす能力を持っている政府がこの仕事をやるのです。
以上は、MMT の正しさを、生産面から説明したものです。