垂れ壁とは天井から垂れ下がった壁で、途中までしかない壁のことをいいます。
床の間の上部の壁や、対面キッチンにて流し台の上部に吊戸棚を付けるために設けられており「下り壁」とも言われています。
よく見てみれば各部屋に設置されていて、同じ家の中でも様々な高さになっていたりします。
また、オシャレなものになるとガラスでできているものもあったりなど、近年はデザインの幅も出てきています。
☆垂れ壁には「防煙壁」の役割がある!
ではなぜ、ほとんどのキッチンに垂れ壁が設置されているのでしょうか。
これは、「防煙壁」の役割を果たしているからといえます。
防煙壁とは火災により発生する煙の拡散を防ぎ、避難を容易にするための設備の一つと建築基準法でいわれているものです。キッチンと他の居室との間に設けられ、天井面から50センチメートル以上、下がった垂れ壁が防煙壁と定義されています。
火災の際に煙の上に上がっていく性質を利用して、部屋中に煙が充満しないようにする役割を担っています。
キッチンだけでなく部屋と部屋仕切りの壁等にも利用されています。
キッチンの垂れ壁の幅や構造
キッチンの垂れ壁はどのような構造になっているのでしょうか。
前述したように、キッチンの垂れ壁は防煙壁として天井面から50センチメートル以上、下がったものと定義されています。
天井の高さにもよりますが、あまり大きすぎても頭をぶつけてしまいますし、一般的な家庭では50センチメートルを大幅に超えるサイズのものはあまり見られない。
構造としては普通の壁と同じで、木と石膏ボードでできていることがほとんどです。
この石膏ボードが高い断熱性や遮音性を発揮しています。
キッチンでご飯を作っているお母さんに声をかけてもなかなか気づいてもらえないのもこう理由があるからです。
◼️キッチンが不燃性なら垂れ壁は不要!
ところでこのキッチンの垂れ壁、絶対に必要なのでしょうか。法律の名前がでてきたので必ず必要に思えますが、実はそうではないのです。
※戸建住宅の場合は、ある条件を満たせば垂れ壁が撤去できます。
その条件とは、キッチンのガスコンロ(火回り)に不燃材料を使うことです。
不燃材料とは、火災が発生して火熱が加えられた場合に、20分間は燃焼しないという素材のことです。
火や煙を防ぐために設置されているため、他に火災の対策ができれば撤去することも可能、ということです。
キッチンの垂れ壁は絶対に必要なのか?
◼️キッチンの内装制限について
ここで、キッチンの垂れ壁にも大きく関わってくる「内装制限」についてもまとめておきます。
内装制限とは、建物内部で火災が発生した際に、内装が激しく燃えて火災や煙が広がったり、有毒なガスが発生したりして、内部にいる人間の非難を妨げる状況がないように規定されているものです。
先ほど挙がったキッチンの垂れ壁もこの内装制限に規定されているものですので、撤去には他の火災対策が必要だということです。

そもそも、垂れ壁は「キッチンとダイニング」にするか「ダイニングキッチン」にするかというスペースを分けて、内装制限の適用範囲を調節したりする役割もあります。
また、IHコンロだとガスコンロのような内装制限が適用されないなど、素人には判断が難しい部分もあります。

オール電化か燃えない部材で仕上げればクリアできます。