相続の基礎解説シリーズ、少しお休みしてしまいましたが、再開します。
これまで
相続人
相続放棄
相続分
遺留分
と解説してきました。
今回は、いよいよ、遺言(ゆいごん、いごん)です。
遺言の説明のためには、前提としてどうしても上記の説明が必要でした。
まだ読んでいない方は、簡単に書いてありますので、是非読んで下さいね。
では、まずは遺言の基本の基本からご説明しましょう!
(1)遺言とは
遺言とは、『私が死んだらこうしてくれ!』という遺志です。
具体的には、遺産の配分についての指示です。
生前に書面にしておくことで、死後に効力を発揮します。
通常、人が亡くなると、遺産の分け方は相続人が話し合って決定します。
亡くなった人の思いや考えは、考慮するのもしないのも自由です。
というか、そもそも亡くなった人の思いが分からないことの方が多いです。
“生前、一生懸命介護してくれた息子には、多めに遺産を渡したい” とか
“長男には生前にたくさん援助したから、相続は少しにしたい”とか
そんな思いは伝わらないかもしれません。
それどころか、取り分を巡って揉めることもあります。
遺言があれば、揉めても遺言の通りに遺産の配分を進めることができ、
『話がまとまらないから何もできない』という最悪の状況を回避できます。
また、相続で財産をもらえる人は相続人に限定されていました。
(相続人の回、参照)
“息子に代わって介護してくれた嫁に、お礼として遺産をあげたい”とか
“夫を早くに亡くして苦労している妹に少し援助を”とか思っても、
そのままでは相続人以外の人には遺産を渡せません。
遺言は、好きな人に好きな財産を渡すことが可能です。
![遺言がない場合](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/16/taxmurata/02/a9/j/o0598056412279185950.jpg?caw=800)
![遺言効果1](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/16/taxmurata/ef/cd/j/o0502068912279185949.jpg?caw=800)
![遺言効果2](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/16/taxmurata/01/69/j/o0496054112279185948.jpg?caw=800)
(2)遺言の注意点
遺言の効果、分かっていただけましたか?
ただし、ひとつ注意点があります。
それが以前のブログにも書いた遺留分です。
下のような家族では、遺留分はこのようになっていました。
![遺留分](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/17/taxmurata/48/e5/j/o0580067412279211271.jpg?caw=800)
ここで、こんな遺言を書いたらどうでしょう。
ほとんどをひとりで相続します。
![遺留分侵害](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/17/taxmurata/b9/3b/j/o0488050512279210329.jpg?caw=800)
ふたりの子どもの取り分はゼロ。
これは怒りますよね。
当然、揉めるでしょう。
そして、彼らには1/12の遺留分がありますので、
その分をよこせという請求をすることができるのです。
(遺留分減殺請求(げんさいせいきゅう))
![減殺請求](https://stat.ameba.jp/user_images/20121110/17/taxmurata/bc/1f/j/o0488056712279210331.jpg?caw=800)
こういう遺言は、逆に揉めるもとです。
ですから、遺留分だけは考慮して書いていただきたいなと思います。
とはいっても難しいですから、この点は、実際に書く前に
専門家に軽く相談されるといいと思います。
遺留分を侵害しているかどうか、確認してくれます。
(3)まとめ
遺言は、ご自身の気持ちを伝え残すためにも、
相続をめぐる無用な争いを防ぐためにも、とても有効です。
逆に、遺言を無視して相続人で決めることも可能です。
揉めないなら相続人の気持ちにゆだねることもできるわけです。
ですから、遺留分に注意すれば、書いておいて損はしません。
むしろ、万が一にも揉めてしまうことを考えたら、書くべきです。
書くことで無用な争いを防げるかもしれないのですから。
遺言の話はまだ少し続きます。
次回は遺言の書き方についてです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
↓ 『読んだよ!』の応援1クリックを、是非お願いします! ↓
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fimage.with2.net%2Fimg%2Fbanner%2Fm11%2Fbr_banner_ochiba2.gif)
人気ブログランキングへ