『相続しない』という選択肢(相続放棄) | 3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ

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こんにちは。すっかり涼しくなりましたね。

スポーツの秋、野球やサッカーもクライマックスが近づいています。

私は11月に税理士会のテニス大会があるので、それに向けて練習しています。



ブログは少し間が空いてしまい、失礼しました。

前々回前回のブログでは、相続の時に誰が財産をもらえるのか、

つまり、相続人は誰かという説明をしました。

相続人であれば、遺産を相続する権利があります。

今回は、逆に、遺産をもらわないためにはどうしたらいいか

を説明します。


基本編で書いた通り、相続する遺産は、お金や土地だけではありません。

借金もツケも未払いのお金も、相続しなければいけません

遺産が借金より多く、遺産の中から返済できれば良いのですが、

遺産より借金の方が多いことも十分にありえることです。

そんな時、基本通りに全ての借金を引き継いでしまったら、

その後の生活や人生に大きな負担となってしまうはずです。


そのような場合、財産も借金も、一切相続しません

という選択をすることが出来ます。

これを、『相続放棄 (そうぞくほうき)と言います。

財産だけ相続して借金は相続しません、という都合の良いことはできません。

全部相続するか、全く相続しないか、これが基本になります。

(正確には、財産の額まで借金も相続するよ、という限定承認もあります。)


放棄とはどういうことか、また、手続きはどうしたらいいのか。

いつものイラストで説明していきます。


(1)放棄の仕組み

まずは、いつもの家族にご登場願いましょう。

 
  
このおじいちゃん、実はギャンブル大好き、事業も失敗、借金まみれでした。

借金祖父 

しかし、このままでは、相続人であるおばあさんと息子さんが、

この借金を全て引き継ぐことになってしまいます。

ここで、相続放棄です。

「遺産はいらない!その変わり、借金も関係ないよ!」

『相続放棄』により、財産も借金も、一切を相続しないこととなります。

ただし、放棄をすると、相続人が変わります。

つまり、1位の子どもと配偶者が放棄をして、相続人でなくなると、

2位の両親が相続人になります。

2位の両親も放棄をすると、3位の兄弟が相続人になります。

相続人のままだと借金を引き継いでしまうので、

配偶者&子ども→両親→兄弟と、

順番に全員が放棄をしなければなりません。

ここは要注意です。(下記の順番で、各々が放棄の手続きをします)

全員が放棄をすれば、手続きは完了です。

放棄の順番 

また、相続放棄は、相続争いに巻き込まれたくない場合などにも 有効です。


 (2)放棄の手続き

 相続放棄をするためには、

相続開始(死亡)から3ヶ月以内に、

家庭裁判所に『相続放棄申述書』を提出します(↓)。



 放棄手続き 
 

1.提出する裁判所


 住所地または亡くなった方の住所地の家庭裁判所


2.期間

 相続開始(死亡)を知った日から3ヶ月以内
  (事情がある時は、裁判所に申請することにより延長できる場合も。)


3.提出書類

 相続放棄申述書(裁判所またはこちらから
 相続人の戸籍謄本
 亡くなった人の住民票の除票
 収入印紙(800円)
 返信用の郵便切手
 身分証明書
 認印
 その他裁判所から求められたもの


4.放棄の撤回

 出来ません。(脅迫や詐欺があった場合のみ、認められることもあります)

 後から多額の財産が出てきてしまっても、相続できません。

 3ヶ月ありますので、財産調査も含め、慎重なご判断を。


5.その後

 提出後1週間程度で、裁判所から『照会書』が送られてきます。

 いくつかの質問等に答えて返送し、問題なければ、

 『相続放棄申述受理通知書』が送られ、放棄成立となります。

 この書類が放棄の証明となりますので、債権者から返済を求められた時は、

 この書類(コピー可)を見せればOKです。


(3)まとめ

亡くなった方の財産より借金が多かった場合、

泥沼の相続争いに巻き込まれたくない時、

そんな時に、相続放棄は有効です。

できれば出したくない書類ではありますが、

万が一の際、ご自身を守るための手段として、

頭の片隅に置いていただければと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!!



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