今月のテーマ 交際費について
「交際費を使うことで税金が高くなる?」、「交際費は経費にならない?」など、交際費の税務上の取り扱いは、知られているようであまり知られていません。
近年、交際費の取り扱いについては改正が続いており、支出する年度によって取り扱いが異なる場合もありますので、今月は交際費の概要や、領収書の保存方法などをわかりやすく解説していきます。
1.交際費とは
交際費とは、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」で、寄付金、福利厚生費、給与等一定のものに該当しないものと定義されています。
例えば、得意先との飲食費用や、お中元・お歳暮、香典や祝い金などが交際費に該当します。
また、一般に考えられているより交際費の範囲は広く、例えば得意先との接待のための飲食会に向かう会場までのタクシー代や、帰りのタクシー代なども旅費交通費ではなく、交際費に該当します。
2.交際費の損金不算入
交際費に該当するかどうかは上記で述べた通りですが、そもそも、交際費に該当するとどうなるのか?交際費に該当すると経費にならないのか?といった、税務上の取り扱いについてご説明いたします。
(1) 以前までの取り扱い(資本金一億円以下の中小企業の場合)
以前までは、交際費に該当した場合、中小企業(資本金1億円以下)では「交際費が600万円に達するまでは、90%は費用計上を認めるけど、それを超えた部分については全額費用としては認めないよ」という取り扱いでした。
(例)
会計上の利益が1000万円、そのうち交際費として費用に計上した金額が700万円の場合。
法人税を課税する上での利益は、交際費として計上した700万円のうち、600万円を超える部分は全額、それ以下の部分は90%しか費用として認められませんので、法人税法上認められる交際費の額は、600万円×90%=540万円なので、それを超える部分(700万-540万=160万円)は費用の額にならないので、法人税法上の所得は、1000万+160万=1160万円となり、法人税が多く課税されることとなります。
(2) 平成25年4月1日以後開始の事業年度に係る取り扱い
中小企業の場合、交際費の額が800万円まで全額費用として認められることとなりました。
つまり先ほどの例の場合は、交際費の額が全額費用として認められるので、会計上と法人税法上の所得の額は変わらず、法人税が多く課税されるということはなくなりました。
ただし、800万円を超える部分は全額費用として認められませんので、例えば年間に交際費900万円を使った場合には、900万円-800万円=100万円が法人税法上認められない金額となります。
(3) 平成26年4月1日以後開始の事業年度に係る取り扱い
基本的には中小企業の場合、800万円まで費用として認められるのは変わりませんが、選択肢がもう一つ増え、「飲食のために支出する費用の50%を、法人税法上も費用として認める」ことが出来るようになりました。
つまり、飲食代のみで1600万円を超える場合は、こちらのほうが有利となります。
3.交際費に該当しないもの
上記で述べたように、交際費に該当すると法人税法上有利になるとは言えませんので、経営者としてはなるべく交際費としてではなく、会議費や福利厚生費として費用計上できないものかと考えられると思います。
それでは、具体的にどういったものが交際費に該当しないのでしょうか。
(1) 人当たり5,000円以下の飲食代(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)
得意先との飲食代のうち、一人当たり5,000円以下のものについては、交際費には該当しません。
例えば、得意先を含む5人で食事会を開いた場合、5人合計25,000円以下であれば、交際費には該当しないこととなります。
また、得意先との食事会が二次会、三次会と続いた場合は、二次会、三次会の度にお店を変更するなどすれば、その都度一人当たり5,000円以下の判定が使えますが、逆に、同じお店で二次会などを開いた場合は、一次会の延長とみなされるので、一次会と二次会の合計で一人当たり5,000円の判定をすることとなります。
【領収書の保存義務】
上記の一人当たり5,000円以下の飲食費に該当するかどうかの判定に係る領収書には、次の事項を記載しなければなりません。
①
飲食等のあった年月日
②
参加した得意先の氏名等
③
飲食等の参加者の数
④
費用の金額、飲食店の名称、所在地
⑤
その他参考となるべき事項
飲食店で領収書をもらうと、①と④はあらかじめ印字されている場合がほとんどですが、②と③についてはこちらで記載する必要がありますのでご注意ください。
(2)
専ら従業員又はその家族に対する香典や祝い金など
得意先に対する香典、祝い金などが交際費に該当するに対し、従業員又はその家族に対する香典、祝い金などは交際費に該当せず福利厚生費に該当します。
基本的に受け取った側では税金はかかりませんが、社会通念上あまりにも高額な場合は従業員に対する給与として課税される可能性があります。
(3)
事業との関連性が希薄な者に対する贈与
得意先に対して贈り物をしたりする費用は交際費に該当するのに対し、事業関連性が希薄な者、例えば社会事業団体や政治団体、神社の祭礼にかかる贈与については交際費とはならず、寄付金として取り扱われることとなります。
なお、寄付金については、会社の資本金や所得金額により別途経費にできる限度額が定められています。
【編集後記】-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
早いものでもう9月となりました。短かった夏も終わりを告げ、朝晩などは肌寒い日もあり、すっかり秋めいて来たようです。今年は例年よりも梅雨明けが遅れ、天候不順の影響なのか、消費税増税の影響なのか、消費動向も良くないみたいです。この先消費税10%なんてビクともしない好景気になればいいのですが...。実りの秋の実りが待ち遠しいですね。
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