欠損填補と外形標準資本割 | 税理士 松本優 ~暮らしをよくする税務~

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<初めに>
税務デューディリジェンスや他の税理士事務所から移ってきて初めて私が見るクライアント様の申告書などで、多く間違いを発見する項目は資本取引です。

資本金等の額が間違っていることが多く、これは別表5(1)とB/Sを見ればすぐにオヤっ?となります。

資本取引は直接的に法人税額に影響を与えない項目であり、かつ、少し複雑なように見えるので、ある場所ではおざなりに処理されてしまっているように感じます。厳密にはみなし配当、地方税の均等割など、随所に影響を与えるのですが・・・。

仮に資本金等の額が合っていたとしても、今度は外形標準資本割が間違っていることが多いです。

上記については、間違えて税金を少なく払ってしまっている状態ではなく、逆に、無駄に税金を多く払ってしまっていることの方が多いので、お時間のあるときに是非自社の資本取引及び税務処理を確認して頂き、顧問税理士に損をしていないか聞いてみてください。

期間的な限界はありますが、更正の請求や嘆願をすることで還付を受けることができます。

私が以前見つけたときは1億円以上の税金を無駄に払っていたケースもあったので、本当にバカにできません。

<欠損填補を行った際の法人税の処理>
資本金又は準備金を原資として、マイナスの利益剰余金を補填しようとする場合、無償減資を行いこのマイナス補填することが多くあります。
後述致しますが、この時は必ず資本金又は資本準備金からその他資本剰余金に振り替えて、その後1年以内に欠損填補を実行し、マイナスの利益剰余金と相殺してください。

上記の処理をすることで、会計上では資本金又は資本準備金が減少し、同額の利益剰余金が増加します。

では法人税申告書別表5(1)に記載する資本金等の額はどうなるか?


答えは何も変わりません。正確には資本金等の額の合計ベースでは欠損填補実行の前後で金額は変わりません。これは法人税法上の利益積立金も同様です(詳細な別表記載方法は割愛させて頂きます)。

法人税法上では、この欠損填補はなかったものとして取り扱われることになるためです。


<事業税(外形標準資本割)>
では、外形標準課税における資本割ではどうなるでしょうか?

通常、資本割の計算をする際には法人税申告書別表5(1)の資本金等の額をそのまま使用して計算しますが、欠損填補がある場合には特例が設けられております。

資本割を計算する場合には、法人税と異なり、その欠損填補に充てた金額は資本金等の額から差し引けることとなっております。

つまりその分税金が安くなるのです。

ただし、全ての欠損填補について適用があるわけではなく、次の要件を充足する欠損填補についてのみ適用があるのでご注意ください。

上記にて、一度その他資本剰余金に振り替えてから実行してくださいとお願いしたのはそのためです。

①平成13年4月1日から平成18年4月30日までの間に資本又は出資の減少をして欠損てん補した場合又は旧商法289条1項及び2項2号に規定する資本準備金による欠損てん補を行った場合には、欠損てん補に充てた金額について、資本金等の額から控除します。

②平成18年5月1日以後に、剰余金による損失のてん補を行った場合は、損失のてん補に充てた額を資本金等の額から控除します。この場合の控除額は、資本金の額又は資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金として計上してから一年以内に損失のてん補に充てた金額に限ります。


以上となりますが、資本取引は慣れていない方からするとやはり複雑です。

ただ唯一覚えておいて頂きたいことは、欠損填補をしたときは何か税金を安くする方法がある。ということです。



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