おかぁさん、もう10日になっちゃったね
そう言うたぁくんの笑顔が痛いよ。
必死に我慢してるが手に取るようにわかるもん。
長いようで短かった検査から結果を待つ日にちだったね。
きっと生まれてから一番長いような短いような不思議な時間を送っていたんではないでしょうか?
大好きなサッカーをしていたいだけなのに、そのサッカーがこんなにもきみを苦しめてるなんて皮肉だよね。
いろんなクラブのセレクション情報に興味を持ち、自分の将来を考えていたよね。
マリノスや横浜FCやフロンターレ
入りたいクラブに目を輝かせていた1年前
なのに、国チビ予選リーグでの骨折
チームは決勝トーナメントに行くことができたけど、たぁくんにはものすごい代償だったよね。
それでも必死に痛みと闘いながらサッカーしちゃってさ。
大事なセレクションを受けることができなくって、雨の中で寒さを忘れて受験してる光景を見ていたっけ。
スパイクを履くことさえもできなくって、1次を免責してもらったのに2次にも参加できず…
「こんな僕を今まで待っていてくれてありがとうございました」そう言って頭を下げたたぁくんの目には涙が浮かんでいたっけ。
あの時の事をおかぁさんは忘れないよ。
12年間、いつもたぁくんと一緒に同じ歩幅で歩いてきたよね。
だからね
大丈夫だよ
これからも、たぁくんのそばにはいつもいる
怖くないって言ったらウソだよ。
まだ12歳のたぁくんには怖くて当たり前
一緒にいるから
また
あるいていこうね
たぁくんの視線の先にある輝かしい栄光を一緒につかむために
明日
どんなことを聞いても、しっかりと受け止めて前を向こうね