対決/ 月村了衛 光文社
p.310
日邦新聞の記事がきっかけで、統和医大だけではなく、 他大学医学部や医大における不正の実態も次々に暴かれた。
だけど――と菊乃はスプーンを動かしつつ、さらに思考を凝らす。
監視を怠ってはならない。不正や腐敗は、
差別を追及する側の報道人でさえ、意識的、
男と女。性差というものが存在する限り、
ーーーでも少しずつ、そう、
正義を貫き、社会制度を変えようとする主人公の檜葉菊乃が、朝ドラの佐田寅子に、若い世代の改革意欲を優しく見守る小山内教授が穂高教授に重なってしまう。
手に入れたいものと守るべきものの対決に一瞬たりと目が離せない。