黙婆 / 青木悦 坂本鉄平事務所
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・・・私はいままで幸運というものに縁がなかったのですが、このときの幸運は、あの土ぼこりの立つようなさわぎの中で聞こえた一言、『大丈夫ですか？どうしました？』に、私がすがりついたこと、そして手離さなかったことが大きかったと、いま、思います。幸運とは、すれちがっているのだけれどきっと私は、それをつかまえることができなかったのです。うかうかしていたり、ま、いいやと、諦めている間に、するりと逃げていったのだと思います。
大きな災害に襲われる度に球場に心痛め、助け合いが叫ばれ、絆が強調されますが、少し時間が経てば、多くの人が忘れてしまいます。
忙しく、利己的に傾いた現代社会から、他人に優しい視線を向けられる社会への転換を願っています。