印刷技術 カラーの色出し | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

4色カラー物の印刷をする場合、まぁ、各色の濃度値がOKならば、それで

色調としては、ヨシ!とする。なんて言う印刷現場さんも増えて来ましたが、

ごく普通の場合は、必ず「色調見本」なんて言うのが有って、その色調で、

お客さんからOKを頂いているので、それに刷り物の色を合わせ込むっての

が普通の、色合わせ作業ってヤツかと思います。

 

私がやってた、毛染め系の色調再現等は、非常にシビアな物だったので、

何色を、どうしようかケッコウ迷ってしまうんですが、私は古い人間なので、

新人機長(20歳)の頃は、2色機で、4色カラーを刷ってたんですよ~。

 

2色機でカラーを刷る場合の刷り順は、まず、藍⇒紅 を刷って、その後で、

ローラー洗浄をして、墨⇒黄 の順に刷って4色カラーの出来上がりです。

これが、単色機で4色カラーを刷る場合だと、紅⇒藍⇒墨⇒黄の順です。

 

4色機でカラーを刷れば、1発回答で、カラーの色が出るのですが、2色機

とか単色機で刷る場合には、まだ全くカラーに成っていない状態で、その

印刷物の色調の出来上がりを想像して行かなきゃ成らないワケなんです。

 

例えば、2色機でカラーを刷る場合なら、まず、藍紅の2色を刷るのですが、

この2色で刷った状態を見て、墨黄の残り2色を入れた状態までをも想像し、

藍や紅の印刷濃度を決めて行かなきゃ成らないって事なんですわ~。

 

藍と紅の2色刷りの状態。この時の色調を考える基準は、藍か、紅か?って

言いますとね、これは、紅なんですよ。単色機の場合は、紅から刷って行き

ます。って事は、紅の刷り加減で4色カラーの仕上がり具合が決まってしまう。

って感じなんですわ。紅が盛り切れず、淡い紅に成ってしまえば、最終的な

4色カラーの刷り上がりも、淡く眠たい物に成ってしまうんですよ~。

 

私にとっては、最初のカラー印刷が2色機で、それを3年以上やりましたので、

4色機を使うように成ってからも、カラー印刷の色調基準は、紅の仕上がりの

具合を基準に見るって言うクセが、浸み込んでしまっていました。

 

まず紅の諧調(グラデーション)が有り、それを藍で濁すか、墨で濁すか。

また、黄色は紅を抑える役目が有るので、黄色みが強い色調の場合は、紅を

より強く(濃く)刷っておいて、そこに黄を足して行ってやると、深みの有る色彩

を表現する事が出来る。なんて、事を想像しながら、印刷してました~。

 

実はこれね、非常に日本人的な思考なのだそうです。日本人は、赤浮きを

嫌う傾向が強いんですよ。例えばニュートラル・グレーは、少し青めの色調を、

日本人はヨシとします。これが欧米人だと、赤めのグレーを好むのだそうで、

日本人が好む、青めのグレーは、欧米人にとってはアカンのだそうです。

 

この、好みの差は、瞳の色の差だとも言われています。茶色の瞳を持った

日本人と、ブルーの瞳を持った欧米人とでは、色調に対する好みが違うの

だそうです。・・・例えば、チョッとエッチな映画の等の事を、昔の日本人は、

「ピンク映画」と表現しましたが、欧米人は「ブルーフィルム」と言ってました。

 

ブルーが、エッチな感じ。・・・こりゃ日本人には理解不能な領域かと思います。

ですからね、欧米の印刷物の色調を見てると、「ええッ?こんなのがイイの?」

と、首をひねりたく成ってしまう物が多々有ります。もともと狩猟民族で肉食が

中心だった欧米人と、農耕民族だった日本人の、感性の差なのかもですね。

 

狩猟民族は、獲物の血が滴る、赤系を好み。農耕民族は、

生い茂った青い葉の色彩を好む。・・・なんちゃってね(笑)。

 

ん~。 色調再現の話が、民族の違いの話に成ってしまいました~。

まぁ、それはそれでイイか~。(笑)