印刷技術 ヒッキーと断裁 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

「ヒッキー」って、要するに、印刷物のベタ部分などに乗る 「ゴミ」 の事ですね。

その昔、「ヒッキーが、ひっきりなしに乗る」なんて言う名言が有りました~(笑)。

 

問題は、このヒッキーって言うトラブルはシロウトの方の目でも、簡単に分かって

しまうって事なんですね。ベタの中の白抜けは、こりゃ本当に誰にでも見えてしま

いますもんね。ピンホールなんて言う小さな物でも見付けられてしまうのに大きな

ゴミのような白抜けは、こりゃ全くアカンですわね。

 

先日、「昨日の仕事でヒッキーが止まらずに困りました。これは湿し水が汚い事が

原因でしょうか?」と言う質問を頂きました。・・・湿し水の濾過装置を製造販売して

いる当社(コスモテック)としては、「そうですッ!大変良いところに気付きましたね!

当社の濾過装置を入れれば、一発で解消しますッ!」

 

なんて言いたいところなんですが、そんなワケがないですわね~。そりゃまぁねぇ、

湿し水が汚いよりも、綺麗な方が良いには良いのですが、よほどメッチャメチャに

汚い状態でなければ、湿し水の汚れとヒッキーの出かたってのは、こりゃ無関係

だと言ってもイイでしょうね。(う~ん、商売下手やね ww)

 

ヒッキーってヤツは、紙とインキが原因に成る場合が、ほとんどです。紙の表面が

弱く、それにタック(粘り気)の強いインキで刷れば、紙の表面が剥がれてしまう

って言う、ピッキング(紙剥け)ってのが発生して、ヒッキー(ゴミ)だらけに成って

しまいますよね。

 

あと、インキやインキローラーの中に、ゴミが混ざってしまっている。な~んて言う、

超初歩的な原因でも、ヒッキーがドカッと付いてしまいますわね。それとね、例えば

全紙ではなく、半切など、全紙を断裁機で、小さく断裁した物の場合だと、断裁の

良し悪しで、その断裁面から、大きな紙粉がゴロゴロ出て来て、ヒッキーに成って

しまう場合が有ります。・・・これが原因だと、しつこくヒッキーが出ますね~。

 

以前にも書きましたが、全紙を半切にする場合、全紙を断裁機に突っ込んで、半分

に切ってハイ終わり~。ではアカンのですわ。断裁機の刃(包丁)ってね、刃よりも

奥に突っ込んだ紙の断裁面は、キレイに切れるんですが、手前側はアカンのです。

 

つまりね、全紙を断裁機に突っ込みました。そして半切に断裁。この時、包丁よりも、

奥に突っ込んだ部分の断裁面は、真っ直ぐでキレイですよね。でも包丁より手前の

部分は断裁面が斜めに成ってしまいます。この斜めに成ってしまった面ってのは、

切れた!と言うより、毟られたって感じの面に成ってしまい、その面は無理矢理、

毟ったおかげで、紙粉の塊りのようなゴミが、イッパイ付いてしまってるんです。

 

この、毟られてゴミがイッパイの面を、そのまま印刷したら、こりゃもうヒッキーだらけ

の印刷物に成ってしまいます。 ・・・こりゃアカンと、その面のゴミを、掃除機で吸い

取ったり、サンドペーパーで磨いたりしてる方も、おられるようですが、そんな面倒な

ことをやっても、このゴミを完璧に取り去る事は難しいですよね。

 

この断裁毟れゴミの除去、実は簡単です。・・・断裁機の奥に突っ込んで半切にした

紙は、キレイな断裁面ですから、それはそれで完成です。そして包丁の手前で斜め

の断裁面に成ってしまった紙は、その断裁面が自分の方に向くよう、ひっくり返して、

もう一度、断裁機の奥に突っ込み、ゴミだらけの面を仕上げる様な感じで、2mm 位、

仕上げ断裁してやれば、OKです。  あッ、もちろん、先に断った紙と寸法は同じに

成るように計算して断たなきゃアカンですよ。

 

自社内で全紙を半切断ちされてる工場では断裁係りの人に頼んで、この仕上げ断ち

をしてもらえばイイんですが、紙屋さんで半切断ちしてもらってる場合は、紙屋さんと

相談してみて下さい。断裁工賃が少し高く成るかもですが、これでヒッキーから解放

されてクレームが無く成るんだから、安いもんだと思いますよ。