印刷技術 pH (ペーハー) | 1級技能士・成田の印刷技術

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最近セミナーをさせて頂いていて、よく
pH (ペーハー) に関する質問を頂きます。

pHって、中性が 7 で、それより数字が
大きいとアルカリ性、数字が小さいと
酸性ってヤツですよね。だから pH 5.0 
って言うのは、酸性だって事ですね。

んで、湿し水の pH はナンボがいいのか?
って話なんですが、一昔前まではね、
5.5 がイイだとか、4.5 が絶対だ!とか言う
話も有ったんですが、今は違うんですわ。

極論してしまうと、湿し水はアルカリ性の
方に振れなければ大丈夫!って言う程度に
覚えておけば OK なんです。上限は 7.5まで
で、それ以上に成ったら湿し水を全部捨てて
新しい湿し水にしてやって下さい。

8.0 を越えてアルカリ性に成ってしまうと、
油性インキの場合は、インキの中の成分の
ドライヤーってのをダメにしてしまって、
乾燥不良を招く場合が有ります。

あと、版も、弱酸性で使う設計に成って
ますから、湿し水がアルカリ性に成ると
地汚れが発生したり、耐刷力が悪く成って
しまう事が有ります。

でもね、その程度です。pH が 4.0 だろうが
6.0だろうが、その違いで何か異変が起きて
しまうような事は有りません。

だってね、湿し水を弱酸性にしてるのは、
エッチ液でしょ。昔のエッチ液ってのは、
pH 値が大きく変化しないように緩衝剤って
のが入ってたんですよ。バッファとも言う
んですが、こいつがね、印刷に対して少し
悪さをする事が分かったので、今のエッチ液
には、緩衝剤(バッファ)が入ってないんです。

だから、pH 値が上がりやすいんですわ。
pH がどうのこうのよりも、エッチ液の
成分が正しい分量で湿し水に入っている
って事の方が、メチャ大切なので、今時は
全て定量添加ってヤツで、エッチ液を入れ
てますよね。

エッチ液を定量で入れていれば、pH は
本来なら大きく変動しないんですが、
湿し水の中には、紙粉だとか、紙の表面の
コート剤だとか、ローラーの洗い油だとか
インキの溶けたのだとか、いろんな物が
入って来て pH を変動させてしまいます。

そこに、緩衝剤無しのエッチ液ですから、
こりゃ、昔と比べて pH が動いてしまう
ってのは、当たり前なんですよ。ですから
湿し水装置の pH 表示ってのは、7.5 以上
に上がったら要注意だよ!ってのを示す
ために付けられてるってくらいに考えて、
そんなに神経質に見てやる必要は無いんだ
って考えてやって下さい。