昔、と言っても、もう50年くらい前の話ですが、私のオヤジ(父親)が、軽自動車に
乗っていました。当時の軽自動車ってヤツは今時の物とは違って、まぁ、ボロいです。
一番の違いは、エンジン形式です。いわゆる「ツースト」ってヤツで、これね、ガソリン
を給油する時に、ガソリンにオイルを混合させて、ガソリンタンクに給油するんです。
燃焼するガソリンに、オイルが混ざってるワケですから、チョッと高速とか、チョッと
登り坂なんて言う、エンジンパワーの必要な所では、マフラー(排気口)から白煙が
モクモク出てしまって、まるで、故障車ですわね~。
そんな時代の車ですから、車自体の造りも、こりゃ今では考えられないほどボロい。
アクセルワイヤーが切れたり、クラッチワイヤーが切れたりなんて、日常茶飯事と
までは行かないまでも、当時まだ子供だった私にも、何度か切れた記憶が有ります。
今なら、そんな故障が起きれば、即、修理工場で修理ですよね。でも、その当時、
ウチのオヤジは、針金とプライヤーを持ち出して切れたワイヤーを自分で繋いで
いました。・・・ブレーキワイヤーを針金で繋ぐって! 繋ぎ方が悪くて、走行中に
そのワイヤーが切れたら、ブレーキが効かなく成って大事故ですわねぇ~。
昭和の40年代って、そんな時代だったんですよ。オヤジが乗ってた、スバルの
軽自動車(カブトムシみたいな形のヤツ)の、エンジンマウントの造りが超ボロで、
エンジンが半分位、下に落ちてしまってて、時々、路面とエンジンが擦って異常に
デカい音を出してたんですが、「まだ乗れる!」と、オヤジは豪語してましたわ(笑)。
今時では、こんな危険な事は、絶対に考えられない話なのですが、実は先日、他の
印刷系サイトで、これと似た様な話に出会いました。それは、油性印刷機をUV機に
改造すると言う話なのですが・・・。 正直なところ、まだこんな考え方をされる人が
印刷業界に居るのかと、背筋が寒く成るほど、ビックリしました。
「印刷機用の後付けUVランプはあまりにも高価ですが、日焼けマシーンや、ペット
飼育用のUVランプとは違うのでしょうか? 紫外線波長はA,B,Cとあり、日焼け
用はCをカットしてあるようですが。もし代用可能なら、地元電気工事会社が1/10
以下の費用で請け負ってくれる可能性もありそうですが。。」
スゴイですよねぇ。 UV印刷の何たるかを、全くご理解されていないですよね。
日サロのUVランプでUV印刷が出来れば、そりゃ安上がりでメッチャ、イイかも
ですが、そうは行かんですわね。しかも、その設置を地元の電気工事会社が
1/10以下の費用でやってくれる。って、そりゃまた、超ビックリってヤツですわ~。
ドシロウトが、自動車の切れたブレーキワイヤーを針金で結ぶ以上に危険だ!
って事が分からないですかねぇ。印刷機の危険度を、ナメちゃアカンですよ。
電気工事会社と言えども、印刷機については、ドシロウトさんですよね。
印刷機ってヤツは、多くの場合、「紙」に印刷を行います。紙ってのは、非常に
不安定な部分が多くて、破れたり、グシャグシャに固まったりしてしまう事も当然、
有るワケなんですよ。でも、もしそう成ったとしても、デリバリィのチェーングリッパ
などは、それくらいでは破損しないように、強度計算がされています。
街の電気工事屋さんが見よう見真似で設置したUV装置。コイツにグシャグシャの
紙が高速でブチ当たって、その装置ごと大破損してデリバリィにまで入って来たら、
さすがのデリバリィも、破損した鉄製部品の衝撃に耐える事は出来ませんわね。
最悪の場合、デリバリィのチェーンや、チェーングリッパが大破し、デリバリィを
突き破って、スゴイ勢いで、すっ飛んで来る事も有るのです。そのデリバリィの所に
居るのは誰ですか?印刷オペレータですよね。・・・打ち所が悪ければ即死です。
印刷機ってヤツは、超精密機械であり、簡単に人身事故を起こしてしまう事も有る
ような、非常に危険な機械でもあるのです。シロウトが勝手な改造をしてはアカン
のですよ。街の電気屋さんが 1/10 の費用でやってくれる。キッチリした専門業者に
依頼すると、10倍の料金が掛かる。でもね、10倍には10倍の意味が有ります。
ドシロウトの勝手な改造で、若いオペレータの命を奪ってしまったり、致命的な
怪我を負わせてしまうような事が有っては、絶対にアカンです。腕1本、指1本
でも失えば、その人の人生は確実に変わってしまいます。印刷機の危険度を、
少しでも学べば、勝手な改造が、いかにヤバいかって事を簡単に理解出来る
と思います。どうか今一度、よく考えて是非ともシロウト改造はやめて下さい。