印刷技術 得意・不得意 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

先日、印刷トラブルの話を頂き、「出来れば、そのサンプルを見させて下さい」

と、お願いしていたら・・・。届きました~。 問題は、裏移りだったんですが、

届いたサンプルの中に、トラブルが起きてない物も、入ってたんですわ~。

 

トラブルが発生していない方の印刷物は、両面2色刷りの、冊子でした。

上質紙の55kg に、墨と、赤系の特色の2色刷り。よく見掛ける、教科書系の

文字物冊子ですね。・・・この、冊子の出来栄えが、素晴らしかったんです!

 

どちらかと言えば私自身は、カラー印刷の専門家だったんですが、管理を

させて頂いていた印刷現場に、菊全1/1とか、2/2とかって言う印刷機が

有りましたので、そっち系の仕事も、ずい分させて頂きました。

 

教科書系の冊子ってね、小口の部分に、インデックスが付いてるのが多い

ですよね。製本して小口を断裁すると、そのインデックスが、単元ごとに、

ブロックに成ってて、そのブロックが斜めに並んで・・・、なんてヤツです。

 

昔、「インデックスに、色ムラが有る!」ってクレームを付けられて、刷り直しを

した経験が有るんですが、紙端の方のインデックスの色を合わせるのって、

ケッコウ難しいですよね。特に、単色の特色系だと、なかなか揃わないです。

 

今回見たサンプル、150ページほどの冊子なんですが、全てのページに

特色のインデックスが付いてて、その全てが、濃度バッチリなんですわ~。

墨文字の濃度も、キレイに全ページ揃ってて、ベタの中の抜き文字とかも

メッチャ素晴らしいし、平網の再現も完璧。上質紙で、ここまでやるか~ッ!

って言うくらい、本当に素晴らしい刷り上がりでした。

 

んじゃ、何がトラブルに成ったのか。・・・トラブルは、その冊子の表紙でした。

コート紙への、4色カラー印刷なんですが、この印刷が、 まぁ~、アワレ。

「標準濃度」っていう言葉、知ってる?って、聞きたいくらい、ゴッテゴテに

インキが盛られてしまってて、グッチャグッチャのメッチャクチャでした(笑)。

 

何なんでしょうかねぇ~。あんなに超見事な、上質紙の冊子が刷れるのに、

コート紙のカラー印刷と成ると、こりゃもう、完全に、シロウト以下。あまりの

哀れさに、評価する言葉すら、浮かんで来ないって感じなのですわ~。

 

確かにね、物事には何でも、得意・不得意ってモノが有りますわね。

例えば、この方が刷った冊子の中身を、カラー印刷の専門家のような私が

刷ったとして、その私の刷り上がりを、この方が見たら、「哀れやなぁ~」

って、おっしゃるかも知れませんよね。

 

でもね、上質紙とコート紙のギャップが大き過ぎですわ~。(笑)

技能勲章でも差し上げたいくらいに、超見事な、上質紙の刷りに対して、

あの、シロウト以下のような、コート紙の刷り上がりって、おもしろ過ぎ~。

 

あっ、でも、あの上質紙の刷りの技術は、絶対に習得したいなぁ。

弟子入りしようかなぁ~。