油性の乾燥の話をしていたのに、ついついユポの話に成ってしまいました。
今回は、話を戻して、油性での乾燥形態について、書かせて頂きます~。
オフセット印刷、油性インキの乾燥は、3段階で進行して行くって、最初に
書いたのですが、その第1段階のセットの話で止まってしまってました~。
今回は、その後の段階での、お話です。 ・・・と、その前に、もう少しだけ、
セットの、お話しを(笑)。
コート紙での話なんですが、コート紙ってヤツは上質紙の両面に、クレー層
って呼ばれるコーティング層を作って出来上がっています。この層の厚みの
違いで、薄い順から、微塗工紙⇒軽量コート紙⇒コート紙、もっと厚くすると
アート紙って言う具合に、名前が変わって行くってワケですよね。
通常のコート紙の場合、このコーティング層には、表面と直角に、メッチャ細い、
ストローの様な管が、何本も立っているとイメージして下さい。このストローが
並んだコーティング層の上にインキが乗るとですェ、毛細管現象ってヤツで、
ストローの管に、インキ中の、粘度の低い溶剤が吸い込まれて行きます。
ストローに、粘度の低い溶剤が吸い込まれる事によって、コート紙の上の
インキは、粘度が上昇します。つまり、固体に近く成るって事ですよね。
これが、セットの前に起きている、乾燥状態の始まりなんですわ~。
・・・インキ中の粘度の低い溶剤が吸い込まれる。 この時にね、湿し水が
多過ぎて、紙に乗ったインキの中に湿し水が入ってしまっていると、これは、
溶剤よりも、水の方が粘度が低いので、本来なら、ストローへ溶剤分が
入らなきゃ成らないのに、溶剤が入る前にストローが水でイッパイに成って
しまうんですわ。これでは、紙の上のインキの粘度が上がらないですよね。
湿し水が多いと、乾燥が遅く成る。セットスピードが落ちて、裏移りが発生
してしまうって言うのを、科学的に考えると、紙の上で起きている、こんな
繊細な現象を、余分な湿し水が邪魔してしまうからなんですよ。
んじゃ、コート紙のストローの本数を、もっと多くして、速乾性を上げれば
イイじゃん。ってな話にも成るのですが、これをやってしまうとね、インキの
固まり方が速く成り過ぎて、印刷絵柄のツヤが無くなってしまうんです。
レベリング って用語が有りましてね、インキは、ある程度の時間を掛けて
固まる事によって、表面の平滑性が出来上がり、ツヤのある絵柄を作る
事が出来るんです。レベリングが充分で無い時にインキが固まってしまうと
インキ表面が凸凹なまま固まるので、ツヤが無く成ってしまうんですわ。
コート紙の中でも、スゴく光沢の有る絵柄で刷る事が出来る物が有りますが、
あれはストローの本数を少なくして、インキのレベリングを充分にさせている
って物なので、乾燥が遅く、裏移りし易いため、注意が必要ですよ。
そういう意味で言うと、OKトップコート+(プラス)。あれが初めて出て来た時、
私、ビックリしました。スゴイ速乾性を持ったコート紙なのに、絵柄のツヤも
良いし、紙の平滑性も良い。SA金藤などの速乾技術を応用したとかって話
なんですが、開発技術ってのは、本当にスゴイですよね。
あ~ッ!また、セットの手前の話で終わってしまった~ッ!
次の機会には、必ず乾燥形態の話を書きます~。でもね、普通に使ってる
コート紙や、インキや湿し水。そんな物の事を、深く掘り下げて考えてみると
ケッコウおもしろいと思いません?
・・・もしかして、おもしろいと思うのはオレだけかな(笑)