印刷技術 ユポの棒積み | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

昨日のブログで、ユポの棒積みの話を書いたら、イッパイ質問を

頂いてしまいましたので、誤解等の無いよう、回答させて頂きます。

 

その前に、チョッと余談ですが、私はユポさんが、FGSを開発される際に、

ケッコウ深く関係させて頂いてたんですよ~。その当時の社名は、今とは

違ってて、「王子油化」さんと言う名前でした。

 

YUPO (ユポ)ってね、「油化」さんの 「YU」 と、「王子」さんの 「O」 を

取って、YU と O が、ペーパーの 「P」 で結ばれた。 と言う事で、

YU + P + O で、「YUPO」 に成ったのだそうです。 

 

※ユポのような高価な紙で、よく棒積みテストが出来ましたねぇ~。

 

 ですよね~。普通、出来ないですよね。損害のリスクが大き過ぎますよね。

 実は私、FGS開発時のテスターの一人だったんです。当時の油化さんが、

 私の印刷機を1日借り切って、様々なテストをする事に成ったワケです。

 その中のテストで、FGSを4千枚、連続印刷して変化を確認するってのが

 有ったんですが、その時、棒積みして、下の1,500枚が軽く裏移りして

 しまったので、その時の自分の限界を、2,500枚としたワケです。

 

※ユポ印刷マニュアルではアルコール使用を推奨してますが、棒積みの

    テストをされた時には、アルコールを何%、使用されていましたか?

 

 その当時、私はノンアルコールエッチ液、アストロ・マーク3 の開発にも、

 深く関わっていまして、その私がアルコールを使うワケには行かないので、

 棒積みテストの際にも、完全にノンアルコールでした。ちなみに、現在の

 ユポ印刷マニュアルは、非常にデキが良いのですが、初期の頃はメッチャ

 出来が悪くて、その頃の再編集にも少し関わっています(笑)。

 

※ドライヤーは何を、どれくらい入れられたんですか?

 

 私は、何でも「ナマ」が好きなんですよ(笑)。あッ、生ビールは飲めんです。

 インキと言う、化学合成物の性能をフルに引き出す為には、混ぜ物系は、

 一切、使用しない方が良い。と考えてますので、ドライヤーは使いません。

 ナマのインキのみで勝負します。「ベストSP」って言う、ユポ用インキを

 使ってましたが、このインキ、昼休みの1時間、放置するとローラー上で

 乾燥してしまいます。

 

※エエッ!私もベストSPですが、ローラー上での乾燥は経験無いですよ!

 

 それは湿し水が多い証拠ですよ。水がローラー上のインキに入り込んで

 しまうので、乾燥しなく成るんですわ。あのインキは、薄い被膜を作って

 やると1時間で乾燥してしまうほどドライヤー機能が高いんですよ~。

 油化さんの勧めで、X+Y= とか言うドライヤーを使ってみたのですが、

 あれ、水と反応して乾燥促進させる方式なので、極限まで水を絞る事に

 命を掛けてる(笑)私には、効果が有りませんでした~。

 

※自分も油性でユポを刷っていますが、他に何かコツとか有りますか?

 

 私は最終的に、LED-UV機を使ってたんですが、ユポを刷るんなら、

 やっぱり、高感度UV機が最高で、超~楽ですわ。油性機の場合でしたら、

 出来るだけ硬いインキを使って、湿し水を極限まで絞るってのが一番の

 コツです。相手は紙ではなくて、フィルム(ユポ)ですから、硬いインキを

 使っても、ピッキング(紙剥け)は起こりません。硬いインキなら、非常識な

 ほど、水を絞っても汚れませんから、乾燥促進には一石二鳥なんですよ。